堂安「やりきった」蘭フローニンゲンで愛される男に

<明治安田生命J1:G大阪1-1川崎F>◇第16節◇25日◇吹田S

 オランダ1部フローニンゲンに期限付き移籍するガンバ大阪のMF堂安律(19)は、1-1で引き分けた川崎フロンターレ戦で得意のドリブルで仕掛けた。本拠地で移籍前の最終戦を終え、仲間から胴上げされた。

ピッチ中央で堂安は胸を張った。試合後のセレモニー。きっぱりと宣言した。

 「1年後、あいつは行って良かったなと言ってもらえるような活躍をしたい」

 ラストゲーム。試合開始から気持ちを前面に出した。前半13分、自陣でパスカットし、ボールを足に吸い付かせるような独特のドリブルで約40メートルを一気に駆け上がった。左足シュートはDFに当たるも、スタンドは大歓声。有終のゴールは奪えず後半19分で退いたが「やりきった」と満足そうな笑みを見せた。

 1年前の6月25日。アウクスブルクへ移籍するFW宇佐美のセレモニーを見て、G大阪の顔になると決めた。オランダのPSVからオファーを受けていたが「宇佐美君みたいに愛される選手になる」と残留を決意。今年5月のU-20W杯で4試合3得点と大活躍し「DOAN」の名を世界へ知らしめた。同じ場所に立ったセレモニーで「先輩である宇佐美貴史という存在が大きく、憧れだった」と、尊敬する人の名を挙げた。

 海外移籍時の年齢、ACL・FCソウル戦での公式戦デビュー、鹿島相手のJ1デビュー、国内最終戦の日にち…。偶然にも全てが宇佐美と同じ。「宇佐美君が(ドイツで)試合に出られてなくて、何でなんやろと思う。だからこそ自分が行って感じたかった」。自然と背中を押された。

 同点弾の長沢も「律のためにという気持ちがあった」と言った。周囲に愛され最後まで笑顔を貫いた19歳。きらきらと輝いた堂安の目には、新しい世界が映っていた。【小杉舞】

 ◆堂安律(どうあん・りつ)1998年(平10)6月16日、兵庫県尼崎市生まれ。西宮SSから中1でG大阪ジュニアユースに入団。ユース所属の高2時に16歳11カ月18日でクラブ最年少J1デビュー。16年に高3で飛び級のトップ昇格を果たし、16年度の年間アジア最優秀ユース選手賞も受賞した。J1通算15試合3得点。172センチ、70キロ。

 ◆海外移籍選手のJ1実績 堂安のJ1通算出場数は15試合のみと少ない。過去にはFW久保がJ1の在籍経験がないままスイスのヤングボーイズに移籍したが、J2の京都で66試合に出場し18得点を記録していた。MF香川もJ1で11試合7得点と出場数は少なかったものの、J2で114試合48得点の実績があった。FW宮市は中京大中京を卒業後、Jリーグに入団することなく、11年にアーセナルに加入(その後すぐにフェイエノールトへ期限付き移籍)している。

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