クルピ監督、遠藤保仁も認める才能!17歳の中村敬斗が出場機会を掴めたワケ

クルピ監督は「チームで一番シュートが上手い」と評する

 今季のJ開幕から1か月経たずして、17歳の高校2年生がピッチに立つことは、もはや驚きではなくなった。

3月18日のG大阪対柏戦。31分に負傷した市丸瑞希に代わって、中村敬斗はトップ下に入った。ピッチに立つと、もはや臆する様子など微塵も見せずにボールを要求し続けた。

しかしこの日は「攻撃のアイデアが、なかなか浮かばなかった」と振り返ったように、決定的な場面に絡むことはできなかった。チームは86分にファン・ウィジョの同点ゴールで2―2の引き分けに持ち込んだが、中村はシュートも0本に終わった。

守備面でのタスクはこなせたという手応えを感じ取った一方で、攻撃面では「相手も僕が前を向いてくる、というのが分かっていて、振り向いた瞬間を狙われた。読まれていたのかな」と語り、悔しそうな表情を浮かべていた。

今季、開幕から公式戦4連敗と苦しんだG大阪で、中村はハッキリと戦力のひとりとして起用されている。スピードやテクニックという点では、まだプロの中で特別抜きんでたものは見せていない。それでもレヴィー・クルピ監督は、中村を「チームで一番シュートが上手い。そして強いシュートを打てる選手だ」と評している。
鋭い振り足から放たれる低く、強いシュート。さらにフェイントなど派手な装飾は少ないが、シンプルな切り返しなどでDFの逆を取ってシュートに持ち込むセンスは、ここまでJでも通用していると言えるだろう。

自身のシュートまでのイメージを、中村は「打つ前にはふたつぐらい選択肢が浮かんで、そのなかで感覚的に選ぶ、という感じです。そういう時は、うまくいく時が多いですね」と語る。

プロ初ゴールを挙げた14日のルヴァンカップ浦和戦。浦和の日本代表DF槙野をターンでかわして右サイドを独走し、最後はペナルティエリア内の右サイドよりから、ゴール右下、ニアサイドに打ち抜きGK西川を破った。

その前に、自身の左側からコースを消そうと寄せてきた浦和DF阿部の姿をとらえ「阿部さんの股を抜いて、ファー(サイド)というのも考えた」と言う。しかし阿部の足に当たる、というイメージが浮かんだことで、ニアサイドを選択。「抜ける、と思ったので、ニア下に強く蹴り込みました」と振り返っていた。

遠藤曰く「今もシュートはうまいし、安定してくれば、もっと成長していくと思う」

 中村は3月3日のリーグ戦の鹿島戦でも、後半開始からピッチに立った。21分には長沢駿からのワンツーを受けてエリア内左サイドでフリーとなり、右足を振り抜いたがシュートは左ポストを叩いた。この時もニアサイドを狙ったが「一瞬、ファーサイドも考えたけど、右からDFが寄せてきていた。ニアを抜ける、と自信があったので。あれは決めなければいけなかった」と語っていた。

このシュートが、中村にとってプロで初めて迎えた決定機。そんなチャンスでもしっかりと周囲の状況を事細かに語れるあたりに、DFやGKの包囲をかいくぐってシュートを狙うストライカーに必要不可欠な状況把握能力が高いことを感じさせた。
そんな中村を、チームメートの元日本代表の遠藤保仁はこう評している。

「まだ17歳なので経験が足りない部分はあるし、身体もできていないところもある。成長していく中で、もっとパワーもついてくれば、シュートの威力も上がっていくと思う。でも今もシュートはうまいし、安定したパフォーマンスを発揮できるようになってくれば、もっと成長していくと思う」

180センチ75キロと、すでに体格はプロの中でも見劣りしない中村だが、DFをちぎるような瞬発力や当たりの力強さが出てくるのはこれからだろう。今はまだ、1学年下のFC東京の久保建英に注目度では劣っている。しかしこの春に高校3年生となるG大阪の背番号38が、久保にも負けないスケールの大きさを感じさせることは確かだ。

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