二川孝広が栃木SCへ決意の移籍!「オグリ&フタ」の黄金コンビが12年半ぶりに復活!

37歳のプレーメーカーが苦渋の決断

 Jリーグの選手登録期限が2日後に迫る3月29日、栃木SCが新加入選手を発表した。東京ヴェルディのMF二川孝広だ。ガンバ大阪からのレンタル契約3年目だったが、今回は今季終了までヴェルディから貸し出されることになる。

37歳のプレーメーカーにとっては苦渋の決断だった。昨季から指揮を執るスペイン人指揮官、ミゲル・アンヘル・ロティーナの下では、ほとんど出場機会を得られないまま。その右腕を務めるイバン・パランカコーチは「フタガワのMFとしての総合値は素晴らしい。でも戦術的な理由と他の選手の個性との兼ね合いで、なかなかチャンスを与えられないでいる」と話していた。

今季もヴェルディの中盤は、アンカー1枚にインサイドハーフが2枚。二川は後者での出場を目ざしていたが、求められるのは機動力と局面打開力だ。目下売り出し中の若きデュオ、井上潮音&渡辺晧太が幅を利かせ、元気印・梶川諒太や新加入の佐藤優平も控える。今季の開幕6試合で、ベンチ入りさえ果たせないでいた。

そんなタイミングで舞い込んできたのが、栃木からのオファーだ。二川はこう話した。

「もちろん試合に出たい気持ちは強いし、それは去年からずっと変わらないです。そんななかで必要としてくれるクラブがあった。ありがたい限りです」

相変わらず口数は少ない。だが、トーンは珍しく高めだ。

決め手となった要因のひとつが、ガンバユース時代からの旧友で現在栃木でプレーする大黒将志の存在だろう。移籍決定前には当然相談し、「また一緒にやろう」と声を掛けてくれたという。

まさに阿吽の呼吸でゴールを陥落する名コンビだった。天才的な動き出しで裏のスペースに抜け出す大黒に、精緻なピンポイントパスを供給する二川。「オグリ&フタ」のホットラインは西野朗体制のガンバに欠かせない武器となり、2005年にガンバがJ1を初制覇した際は猛威を振るった。

当時、サッカーダイジェストの対談で大黒は「なんも言わんでも僕の位置と動きを常に見てくれてる。フタは欲しい時に最高のパスを出してくれるんですよ。普段はほとんど会話はしませんけどね(笑)」と相棒を評していた。大黒はその年の暮れにガンバを去り、グルノーブルへ移籍。それ以来だから、およそ12年半ぶりのコンビ復活となる。

新天地でも待ち受ける熾烈な定位置争い

 大黒との再会について二川は、恥ずかしそうに「同じチームでまた一緒にプレーできるのは嬉しいです」とだけ答えた。だが、栃木ですんなり試合に出れるわけではない。熾烈な中盤の定位置争いに身を投じる。

就任3年目の横山雄次政権下で、J3から上がってきた今季のチームは3-4-2-1、あるいは3-4-1-2、4-4-2システムを採用。二川は2列目とボランチでの出場を視野に入れるが、前者は西谷和希、牛之濵拓が陣取り、後者はヘニキと岡﨑建哉が好調で、まずは控えからのスタートが濃厚だ。中盤のユーティリティーである新加入・寺田紳一が負傷離脱しており、チャンスは確実に訪れるだろう。ちなみに寺田と岡﨑もガンバユースの出身者である。

開幕6試合が2勝1分け3敗で、現在15位に付ける昇格組・栃木。はたして二川が、先発出場を続ける大黒と同じピッチに立つ日はいつか。破壊的なホットラインは復活するのか。2018年、本拠地・栃木県グリーンスタジアムの新たなエンターテインメントとなるかもしれない。

なお二川はヴェルディ・ファンに向けて、公式ホームページ上でこんなメッセージを寄せている。

「初めての移籍で不安だったのですが、チームメイト、スタッフ、ファン・サポーターのみなさまに温かく迎えられて、すんなり溶け込むことができました。本当に感謝しています。 試合でなかなかチームに貢献することができず、心残りなこともありますが、次のチームでまたしっかり頑張りたいと思います。応援ありがとうございました」

3月30日までは、ヴェルディのトレーニングに参加するという。

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