【ライターコラムfromG大阪】指揮官の“愛弟子”マテウス、最下位脱出の起爆剤となるか…先発抜擢の可能性も

3月7日、ガンバ大阪は新外国籍選手の期限付き移籍加入を発表した。それはボランチのマテウスだ。

これを受けて翌8日、梶居勝志強化アカデミー部長はクラブハウスで獲得の経緯を明らかにした。

「かねてから、レヴィー(クルピ監督)とは補強についてのコミュニケーションを図ってきました。その中ではこちらから『こういう選手はどうだ?』というリクエストを出すこともありましたが、基本的には監督の目にかなわない選手を獲ることはしたくないし、監督ご自身も『まずは既存選手の見極めをさせて欲しい』ということだったので、その時期を待ちつつも選手のリストアップは続け、情報を集めていました。最終的には、レヴィーの『守備的なボランチ』という意向をもとに、リストの中から実際に獲得に動ける選手をということで、レヴィー自身がサントス時代に見出した選手でもあるマテウスなら選手としても計算ができるということで獲得に至りました。具体的にレヴィーからキャンプ中に今野泰幸選手がケガをしてしまったからそのポジションの選手をという言葉はありませんでしたが、それは大きかったと思います。外国籍選手枠ということでは、(Jリーグの規約に基づき)5人の外国籍選手のうち4人しか起用できませんが、そこはレヴィーの方でコンディションを見極めながら起用していくことになると思います(梶居氏)」

マテウスについて簡単に説明すると、187cm・80kgの大型ボランチで、2016年にはU-20ブラジル代表にも選出されている。今年の4月10日に21歳になるとあって、経験値はさほど高くはないがクルピ監督はこんな言葉で彼に期待を寄せている。

「技術がしっかりしていて、パスも出せる。ミドルシュートもいいものを持っています。左利きで、背も高い。中盤のバランスを修正できる選手でもあります。もちろん、彼にとっては初めての日本で、日本のサッカーのスピードに慣れる必要はありますが、技術とクオリティを備えた選手なので、できるだけ早い順応を望んでいます」

周知の通り、ガンバ大阪はここまで明治安田生命J1リーグを4試合、JリーグYBCルヴァンカップを2試合戦って、勝利を手にしたのはルヴァン杯の浦和レッズ戦のみ。その中で勝てない要因の一つとされてきたのが、キャンプ中の負傷で今野泰幸を失った『中盤』の構成力だ。クルピ監督は高卒ルーキー福田湧矢の対人力を評価して本職ではないボランチにコンバート。市丸瑞希とともにボランチで起用するなどしてきたが、20歳と17歳という経験値の浅い彼らの不安定さは否めず、攻撃にも守備にもスイッチが入らないガンバは、苦しい試合を繰り返してきた。

もっとも、ルヴァン杯を含めて大きくメンバーを入れ替えずに『熟成』を目指してきた効果もゼロではなく、徐々に噛み合う時間帯も長くなりつつあった。それが先に書いた浦和戦での勝利や、今野が戦列復帰を果たしたJ1第4節・柏レイソル戦で0-2からの同点劇に結びついている。いずれにせよ今野の離脱で改めて守備的MFの駒不足が明らかになったことから、マテウスの獲得は選手層に厚みを持たせるという狙いでもプラス材料だ。

では、そのマテウスは果たして即戦力として起用できるのか。心配されるのは日本のサッカーに対する適応力の部分で、本人も来日以降、練習試合等で実戦形式を試す中では「ブラジルのサッカーと比べて日本のサッカーはテンポもスピードも早い。そこに早く慣れる必要がある」と語っていたが、実際の公式戦でいかに対応できるかは未知数でもある。ただ、本人が「できるだけボールを触り、ゲームをオーガナイズすること。前にボールをつけること。そして長距離シュートといった持ち味をしっかり発揮したい」と話す『武器』が存分に発揮されれば、中盤に落ち着きをもたらすことは間違いないはず。ちなみに登録はすでに完了しており、最短で3月31日の第5節・FC東京戦から出場可能。この中断期間中の練習試合で今野が再び負傷離脱しており、出場となればコンビを組むのは遠藤保仁になりそうだが、果たして停滞するガンバの起爆剤になるのか。その活躍に注目が集まる。

リンク元

Share Button