ヤットも絶賛の殊勲弾! 右SBの三浦弦太はどうしてあんな“おいしい場所”にいた?

「こぼれてくるんじゃないかと思って、ならばと…」

[J1リーグ第4節]川崎 0-1 G大阪/3月17日/等々力

どちらに転んでもおかしくない激闘に終止符を打ったのは、まさかの伏兵だった。

川崎フロンターレ対ガンバ大阪の一戦は互いに一歩も譲らず、0-0のままアディショナルタイムへ突入。その91分だった。アウェーチームは中央のアデミウソンが左サイドの倉田秋に預け、すかさず背後を駆け上がるSB藤春廣輝へと繋ぐ。グラウンダーのクロスがニアで潰れたファン・ウィジョ、そして川崎DF3人の前をすり抜けると、その先で日本代表戦士がドフリーで待ち構えていた。右SBに配置されていた、三浦弦太である。

ぎこちなくも冷静に押し込み、アウェー快勝の殊勲弾とした。

「もともとセンターバックなんで、攻撃的ではないんですけど、こぼれてくるんじゃないかと思って、ならば良いポジションだけ取っておこうと。上のボールが来るかなと思っていたところ……。なかなかあんなシーンはないので緊張しましたし、ちゃんと当たってもなかったんですけど、入ってよかったです」

水曜日に行なわれたルヴァンカップ(松本山雅戦)に続いてのSB起用である。昨年夏、宮本恒靖・新政権が発足した直後に数試合で右SBを務め上げ、その際も及第点以上のパフォーマンスを見せていた。連勝街道を進むなかでパッタリと途絶えたが、指揮官は計算できる守備のオプションと考えていたということだ。

およそ9か月ぶりのコンバート。宮本監督は「久しぶりだったんで感覚を取り戻せていない感じはしたけど、時間が経つにつれて良くなっていきましたね」と評する。破壊的な川崎のアタッカー陣を封じ込めるための、いわば切り札となったのだ。

割合としてはほぼ「守備8:攻撃2」で、崩しの局面にも顔は出すものの、敵陣深くに踏み込むタスクは与えられていない。時折高質なアーリークロスを放つくらいだ。基本的には専守防衛で、対峙した厄介なアタッカー、長谷川竜也の見張り役となり、サイドの引き締めに奔走した。

「彼があそこに感じて入っていった、そういうこと」

 にもかかわらず、あの重要なシーンでチームキャプテンは大仕事をやってのけたのだ。試合後、遠藤保仁はその“嗅覚”をこう称えた。

「攻撃面はバランスを取りながらだったはずで、やはり守備の持ち味を出すための(SB)起用だと思う。長谷川君のドリブルは危険だったけど、上手く対応してましたね。得点のところは……彼があそこに感じて入っていった、そういうことでしょう。それに尽きる。アグレッシブに闘うなら、あそこまで行って当然と判断してのこと。あの時間帯にあそこまで走れているのも大きな要因だったと思う」

殊勲の決勝弾を挙げた三浦だが、浮かれる様子は微塵もない。「まだまだ監督に求められている守備のところは、物足りないと感じている」と気を引き締めつつ、「失点が続いていたのは気になっていたので、攻撃的なフロンターレを相手にゼロで終われたのは自信に繋がります」と前を向いた。今季公式戦5戦目にして達成した初のクリーンシートは、栄光の背番号5と腕章を付ける三浦にとって、決勝点と同じくらい大きな価値があっただろう。

月曜日には日本代表合宿に合流し、コロンビア戦(22日)とボリビア戦(26日)に臨む。CBのレギュラーの座を争うなかで、大きな弾みとなったに違いない。

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