宇佐美貴史、G大阪“変革”のキーマンを指名 「異質やったけど必要」と期待する選手は?

【インタビュー|第2回】宇佐美が同い年の新加入MF小野裕二に太鼓判
昨季7位に終わった“西の雄”ガンバ大阪は今季、フランス1部トゥールーズから日本代表DF昌子源を獲得したほか、MF小野裕二(←サガン鳥栖)らを獲得。そんななか、昨夏ドイツ1部アウクスブルクから復帰したエースFW宇佐美貴史が、Football ZONE webの単独インタビューに応じた。今季の展望や新チームの印象など、宇佐美の“本音”をお届けする。第2回は「G大阪の“新”キーマン」について――。

待ちに待った2月23日のJ1リーグ開幕戦、宇佐美が先発したG大阪は新しい姿を見せた。横浜F・マリノスにアウェーで2-1と勝利し、9年ぶりの白星スタート。MF倉田秋、MF矢島慎也のゴールでリードを奪い、後半、相手の猛攻を耐えしのいで勝ち点3をつかんだ。チームは昨季から3-5-2システムに磨きをかけてきたが、この日は4-3-3でスタートし、中盤はMF遠藤保仁をアンカーに置いた逆三角形の配置となった。

前半から“対マリノス対策”として、ハイプレスを仕掛けて果敢に攻め込んだG大阪。この一戦、前半30分過ぎに勝利のポイントがあった。相手のトップ下に入ったMFマルコス・ジュニオールが豊富な運動量を武器に揺さぶってくることを懸念した選手は、宮本恒靖監督に了承を得てシステムを変更。インサイドハーフに入っていたMF井手口陽介を一列下げてダブルボランチにし、矢島をトップ下に置く三角形へ中盤の形を変更した。

この臨機応変な対応は選手“発信”。指揮官にベテランの遠藤が“直談判”したものの、井手口や矢島、倉田、キャプテンマークを巻いたDF三浦弦太らが瞬時に話し合って決めた。昨季は終盤まで残留争いを強いられるなど低迷していたG大阪だが、選手同士で声を出し合い先手を打つ対応を取ることは課題の一つだった。まさに“イメチェン”とも言える、新しい風。チームにこの風を吹き込んだのは、新加入選手のようだ。

その1人が小野。宇佐美と同じ1992年生まれの“プラチナ世代”である小野は、今季鳥栖から加入した。宇佐美は沖縄キャンプで同部屋。すぐに打ち解けた小野について、「(G大阪に)おらんかったキャラクター。裕二に関してはすごくありがたい、いいキャラクターが来てくれた」と太鼓判を押す。

練習の雰囲気に変化が表れる 宇佐美「結構ゲキを飛ばしてくれる」
「結構言うから、裕二。練習中も結構ゲキを飛ばしてくれる。練習中に声を荒げて、機能していないことをキレてくれる選手。フラストレーションで言ってる部分もあるし、文句になっている時もあるけど……。(岩下)敬輔くんがいた時みたいな感じ。言ってくれるから、プレーヤーとしてはもちろんのことやけど、キャラクターとしてはフィールドには絶対いて欲しい」

低迷していた昨季も、宮本監督は練習中から厳しい声が飛ぶことを求めていた。2014年に三冠を達成した時にはDF岩下敬輔(鳥栖)が中心となり、叱咤激励しながらも軽いプレーや安易なミスを許さない高め合う環境を作れていた。だが、ここ数年は主将の三浦らが奮闘はしているものの、足りない部分は選手たちも認めざるを得ない状況だった。

だが、小野の加入はそんな空気感を変えた。ある日の練習。負傷明けの小野が練習に加わると、やはり場は締まった。高卒3年目のMF福田湧矢のプレーに対して小野が怒る。対する福田も縮こまることなく、険しい表情で訴えたという。宇佐美は、その雰囲気こそが成長につながると感じている。

「締まるというか。(怒られて)シュンとしてしまう選手はしてればいいけど、裕二が湧矢に対してめっちゃキレてる時に、湧矢も『あぁ??』っていう顔をしているのも見て、すごくいいと思った。湧矢もそこで言い返さへんけど、そういう顔をできるから。その感じはすごくいい。裕二がいると生み出してくれる」

小野はまるで…「すっげぇ切れる日本刀持ったキューピーちゃん」
同い年の宇佐美に対しても容赦はないようだ。「俺にも全然言ってくる」と笑いながら、「基本的には正論をデカい声で、全員にキレながら伝えている」と認めている。練習中の空気感が変化したことで、選手間の意見も出やすくなった。横浜FM戦の“作戦変更”もその一つ。今のG大阪は選手の自主性が高まっている。宇佐美は新しい風を吹き込んだ小野に感謝する。

「異質やったけど、必要なキャラクター。また顔が可愛らしいから。めちゃくちゃすっげぇ切れる日本刀持ったキューピーちゃんみたいな(笑)。めちゃくちゃ言葉の槍で言ってるけど、顔が可愛いからめちゃくちゃマイルドになる。いいギャップ。ありがたい」

宇佐美と同じプラチナ世代では、鹿島アントラーズや日本代表、海外でリーダーシップを発揮してきた昌子も加入した。三浦やGK東口順昭ら守備陣は、リハビリ中の昌子とも毎日練習後にコミュニケーションを取って、確認を重ねている。宇佐美、小野、昌子の3人が先頭に立って牽引し続ければ、今季はG大阪にとって“変革”の年になるかもしれない。

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