【名勝負VTR】浦和―G大阪の05~15年 スポーツ報知 2015年12月31日(木)16時45分配信

2016年元日の天皇杯決勝は、15年Jリーグ・チャンピオンシップ準決勝と同じ浦和―G大阪の顔合わせとなった。埼玉スタジアムで延長後半にあわやオウ ンゴールからのカウンターでG大阪の決勝ゴールが生まれたシーンは、記憶に新しい。2000年代後半は両クラブで覇権を争ったが、その後ともに低迷を経 験。しかし、見事に復活を遂げ、G大阪は14年に3冠を達成するなど、再びタイトル争いを繰り広げている。大一番を前に、05年以降の両クラブ名勝負を振 り返る。なお、チケットはすでに完売している。

▼2005年シーズン

◆11月12日 J1第30節 G大阪2―1浦和(万博)

G大阪=首位、浦和=3位(4差)で対戦。前半29分にFWアラウージョとMFフェルナンジーニョの個人技で先制。後半は浦和が主導権を握るが、GK藤 ケ谷が好セーブを連発。耐えるホームのG大阪は後半38分にFWアラウージョがカウンターから追加点。アラウージョは「一番」のはちまきを巻くゴールパ フォーマンスをした。直後の同40分に浦和DF三都主が直接FKを決め1点差に迫るが、反撃もここまで。G大阪はこの後3連敗で首位から転落するが、最終 節で劇的な逆転優勝を果たした。

▼06年シーズン

◆12月2日 J1最終節 浦和3―2G大阪(埼玉)

浦和=首位、G大阪=2位(3差)で対戦。浦和は2点差以内の敗戦なら優勝が決まる有利な状態だったが、前半21分にG大阪FWマグノ・アウベスのゴー ルで先制を許す。しかし、浦和は同27分FWがポンテが同点弾を奪うと、同44分に勝ち越し。後半14分に再びワシントンがゴールを決めた。浦和は1年間 ホーム無敗(17試合)というJ初の快挙で、リーグ優勝に花を添えた。G大阪はウイルス性肝炎で長期離脱していたMF遠藤が、後半9分から途中出場を果た した。

◆07年1月1日 天皇杯決勝 浦和1―0G大阪(国立)

リーグ最終節から約1か月を経て、タイトルをかけた再戦。シュート数では6―21とG大阪が圧倒したが、浦和の堅守の前に1点が奪えず。焦るG大阪を尻 目に浦和は後半42分にFW永井が決勝ゴールを決めた。この試合で浦和・ブッフバルト監督は退任。一方のG大阪もクラブの象徴・宮本が「ジグソーパズルでいえば『最後の1ピースがどこに行ったのかな』という気持ち」「ずっと勝ち続けられる強いチームであってほしい」との言葉を残し、海外へ移籍した。

▼07年シーズン

◆7月14日 ナビスコ杯準々決勝第2戦 G大阪5―2浦和(万博)

台風4号が接近し豪雨の中、第1戦を1―1のドローで終えた両雄が激突。G大阪はMF家長が存在感を見せつけ、1ゴール1アシストの活躍。また U―20W杯から帰国したばかりのDF安田がフル出場と、代表組抜きでも強さを見せつけた。G大阪はこの年、ナビスコ杯初制覇を果たす。

◆8月15日 J1第20節 G大阪0―1浦和(万博)

首位G大阪は、リーグ戦ホーム連続無敗記録更新を狙い勝ち点4差で2位の宿敵と激突。ゼロックス杯、リーグ戦、ナビスコ杯とこのシーズン5度目の対戦 で、1か月前のようなゴールラッシュを狙ったが、再三の決定機を生かせず。浦和は後半17分にFWポンテのFKを永井が右足で決め、敵地での逃げ切り勝 ち。浦和はこの年、アジアCL制覇を果たすが、J1では首位で臨んだ最終節で最下位・横浜Cにまさかの敗戦で連覇を逃した。

▼08年シーズン

◆5月17日 J1第13節 浦和2―3G大阪(埼玉)

両サポーターが衝突し、制裁金が課された。試合前にG大阪サポーターが水風船などを浦和サポーター席に投げ込んだことに端を発した。試合後、勝利したG 大阪が円陣を組んで喜びを表したことで選手同士がもみ合いになり、スタンドも混乱。約5000人の浦和サポーターがアウェー席出口に集結したため、G大阪 サポーター約800人は最長3時間半、スタンドでの待機を余儀なくされた。事態を重く見たJリーグは、浦和に2000万円、G大阪に1000万円の制裁金 を科した。鬼武チェアマンは「G大阪サポーターの挑発行為が問題の起因。しかし、ホームに重大な責任がある」と断じた。また、このゲームの後半では、出場 しているG大阪・明神が不在のまま試合が始まる珍事もあった。

◆10月22日 アジアCL準決勝第2戦 浦和1―3G大阪(埼玉)

アジアの舞台で対戦。第1戦は1―1で引き分けて迎えた決戦で、ホームの浦和はFW高原のゴールで先制。しかし、G大阪は後半6分にCKから山口が得意 のヘディング弾を決め流れを変える。同27分に再びCKから明神がゴールを決めて勝ち越すと、同31分に遠藤が3点目を流し込み、試合を決定づけた。勢い に乗ったG大阪は、前年の浦和に続きアジアを制覇した。

▼09年シーズン

◆8月15日 J1第21節 G大阪1―0浦和(万博)

ロスタイムの劇的なゴールでホームのG大阪が勝利した。後半41分に投入されたG大阪FW播戸は、スルーパスに抜け出しループシュート。DF阿部にゴー ル寸前で阻まれたが、こぼれ球をすぐさま拾い、GK都築の股間を抜いた。播戸の決勝ゴールは万博競技場通算500ゴールとなるメモリアル弾だった。

▼10年シーズン

◆7月18日 J1第13節 G大阪3―2浦和(万博)

再びロスタイムに試合が大きく動く試合だった。G大阪が1点リードの後半48分、浦和がセットプレーからエジミウソンのゴールで土壇場に追いつく。しか し、W杯16強から凱旋したG大阪の背番号「7」はあきらめなかった。ペナルティーエリア外から、MF遠藤が美しい軌道を描く決勝弾をゴール左上に突き刺 した。「寄せてきたDFの位置も分かっていた。コースにさえ飛べば入るなと思った。そんなに難しくない」との冷静さが呼んだゴールだった。

◆12月25日 天皇杯準々決勝 G大阪2―1浦和(万博)

1―1で延長戦にもつれた試合を決めたのは、野心あふれるG大阪・宇佐美だった。延長前半13分、DF下平からのロングボールをFWルーカスが受け、宇 佐美へパス。「トラップした瞬間にスペースがあったので、入る確信があった」。右足を振り抜くと、浦和のDF山田とGK山岸に当たりながらも、ゴールマウ スに吸い込まれた。この年、久々に両クラブとも無冠となった。

▼11年シーズン

◆10月2日 J1第28節 G大阪1―0浦和(万博)

降格の危機に瀕する浦和が、クラブ創設20周年を祝うライバルの記念試合で敗れた。前半28分にMF遠藤はセンターサークル付近でパスを受けると、相手 DFラインの裏に抜け出したFWイ・グノに、浮き球で約40メートルのパス。韓国代表FWが冷静に決めて先制して、J通算300勝を挙げた。浦和は降格ラ イン付近をさまよったが、最後に踏ん張って最終節でJ1残留を決めた。この年、G大阪を10年間率いた西野監督が退任。ガンバの一時代が区切りを迎えた。

◆10月9日 ナビスコ杯準決勝 浦和2―1G大阪(埼玉)

リーグ戦から1週間を経た再戦。浦和が会心のサッカーで7年ぶりの決勝に駒を進めた。ヒーローは梅崎。前半21分、こぼれ球を右足で押し込み先制する と、38分には自らのミドルシュートがFWエスクデロの腹部に当たり追加点(記録はエスクデロの得点)を挙げた。07年8月以来、G大阪に公式戦12戦ぶ りに勝ち、07年のACL以来のタイトル獲得に王手をかけたが、決勝では鹿島に敗れた。

▼12年シーズン

◆6月16日 J1第14節 G大阪1―2浦和(万博)

またしてもロスタイムに試合が決まった。前半29分にリーグ100試合出場となる原口が同点ゴールを決めて追いつくと、1―1の後半47分、柏木からの パスに反応した梅崎がゴール。07年8月となる対G大阪戦の勝利をつかんだ。G大阪は2試合連続で後半ロスタイムに失点して敗戦。14試合を終えてたった 2勝と、西の雄のどん底状態を象徴する試合となった。

◆9月22日 J1第26節 浦和0―5G大阪(埼玉)

シーズン不調の16位・G大阪が突然輝きをみせ5発大勝した。前半にMF阿部とFWレアンドロのゴールで折り返すと、後半15分に再びレアンドロ。さら に同42分と同47分にFWパウリーニョが2得点した。試合前は3位だった浦和はホームでのリーグG大阪戦で6年連続勝ちなし。なおこのシーズン、G大阪 は最後まで低迷。他会場次第ながら勝てばJ1残留の可能性があった最終節で磐田に敗れ、クラブ史上初のJ2降格となった。

▼14年シーズン

◆3月1日 J1第1節 G大阪0―1浦和(万博)

FW佐藤と遠藤の2トップで挑んだG大阪のJ1復帰初戦。しかし、13年J1最多の66得点を誇る浦和の前に、前半は押し込まれ、守備に奔走。後半は運 動量の豊富なMF大森を投入し、29分からは遠藤を本来のボランチに戻して主導権は奪ったが、最後までゴールを割ることはできなかった。浦和は前半43分 にDF槙野が混戦からゴール。ブラジルをイメージした情熱的なダンスを披露。クラブにとって21シーズン目のJ1で初の開幕戦完封勝利となった。

◆11月22日 J1第32節 浦和0―2G大阪(埼玉)

2位のG大阪が首位・浦和を敵地で撃破し、勝ち点差2に迫り目の前での胴上げを阻止した。途中出場のFW佐藤が後半43分、大声援を受ける相手のセット プレーからカウンターで均衡を破る先制弾。さらに途中出場のMF倉田がロスタイムに試合を決定づける2点目を決めた。試合後のロッカーには「3冠いける ぞ!」の声が響いた。浦和はこの試合で終盤に失点、33節の鳥栖戦ではロスタイムに失点してドロー。最終節もホームで名古屋に逆転負けと1勝もできず、8 年ぶりの優勝を逃した。G大阪はリーグだけでなく天皇杯、ナビスコ杯も制し、J史上2チーム目の国内3冠を達成した。

▼15年シーズン

◆2月28日 富士ゼロックス・スーパー杯 G大阪2―0浦和(神奈川・日産スタジアム)

昨季3冠のG大阪が、リーグ戦2位の浦和を2―0で下して、8年ぶり2度目の優勝。後半23分にFW宇佐美が先制点を挙げると、後半ロスタイムには途中 出場のFWパトリックが追加点を奪取。チームの2トップが、きっちり役割を果たし、今季7冠を狙う王者が、貫禄を見せつける1冠目を獲得した。前半から浦 和にボールを支配される時間が長く、DF陣が耐え忍んでいた中で奪った得点だった。

◆5月2日 J1第1S第9節 浦和1―0G大阪(埼玉)

ステージ優勝の行方を左右する一戦となった。0―0で進んだ後半39分。浦和MF宇賀神のクロスをFWズラタンが右足で押し込み先制し逃げ切った。特に ボールを奪われた際の攻守の切り替えが素早く、G大阪に得意の縦に早い攻撃をさせなかったことが勝因。MF武藤、MF梅崎のハードワークで守備陣に余裕を 持たせたことで守りが安定、完封勝利につながった。好調だったG大阪・FW宇佐美の連続試合ゴールも6でストップ。なお、浦和が埼玉スタジアムでG大阪を 下したのは、公式戦では11年のナビスコ杯以来、リーグ戦では最終節の直接対決で優勝を決めた06年以来だった。

◆11月28日 J1チャンピオンシップ準決勝 浦和1―3G大阪(埼玉)

第1ステージ優勝で年間勝ち点72(勝ち点2位)の浦和と年間勝ち点63(勝ち点3位)のG大阪が対戦。0―0で折り返した後半開始早々、G大阪のMF 今野が相手のパスカットから先制点を挙げる。浦和は後半28分にズラタンが頭であわせて同点に追いつき延長戦へ。そしてPK戦も視野に入った延長後半13 分に“事件”が起きた。G大阪DF丹羽がバックパスをすると、ボールは誰もいないゴール方向へ。会場中が「えっ? まさか!」と息を飲んだ次の瞬間、ボー ルは左ポストに当たり跳ね返った。命拾いのG大阪は、GK東口がこぼれ球を拾いすぐさま前線へ。理解不能の事態に一瞬足が止まった浦和が出遅れ、G大阪 DF藤春がボーレーシュートを決めた。延長後半ロスタイムには、FWパトリックがセットプレーからとどめの3点目。勝ち点差で9下回るG大阪が、CS決勝 進出を決めた。なお、今回の事態を受け、Jリーグは翌年のCSを90分終了時点で同点の場合は年間勝ち点上位のチームが勝ち上がるようレギュレーションを 変更することを決めた。

Share Button