【G大阪】昨季王者を撃破した阿部浩之の絶妙ミドル。「最近はシュートが当たっていた」
第2ステージ6節のG大阪対広島戦、勝負を分けたのはG大阪の13番が放った鮮やかミドルシュートだった。
この日、G大阪の阿部浩之は左サイドハーフで先発。リオ五輪で不在の藤春廣輝に代わってオ・ジェソクが左SBで先発したなか、「これまで右で(オ・ジェ ソクと)組むことが多かったですけど、左で組むのは感覚的に違う部分もあった」と振り返る。それでも、確かな手ごたえもあったようだ。
「お互いのやりやすい形でやっていこうと、練習から話し合いながらできた。ジェソクは日本語が分かるようになってきたし、やりやすい」
左サイドから攻撃に絡んだ阿部は35分、右CKのこぼれ球に反応し、強烈なミドルシュートをお見舞いする。ボールは惜しくもバー上部をかすめてゴールにならなかったが、会場を沸かせる一撃で良い感触を掴んでいたようだ。
52分、こぼれ球がラッキーな形で阿部の目の前に転がり込むと、躊躇せずに右足を一閃。ゴールエリア中央の手前から放った一撃は、枠外から枠内に吸い込まれる美しい軌道を描き、GK林卓人が伸ばした手の横をすり抜け、ゴールネットに突き刺さった。
広島の千葉和彦は「シュートに寄せ切れなかった」と悔やんだが、相手が寄せる前に思い切り良く打ち込んだ阿部の判断を褒めるべきだろう。その瞬間について、阿部はこう語る。
「こっち側(右側)にスペースがあるなと思っていたし、パッと見たらDFもあまり来ていなくて、コースもあった。巻いたら入るかなと思って」
もっとも、阿部の決勝ゴールは生まれるべくして生まれたとも言える。
「いつも狙っているところ。ちゃんと当たってくれたなと。コースはちょっと甘かったですけど、スピードあるシュートだったので良かった」
そう謙遜した阿部だったが、「最近はシュートが当たっていた」とプライドも覗かせた。
「ここ最近、ずっとほしいシュートが多かったので、あとは決め切るだけだった。最近はシュートが当たっていたし、あとちょっと落ち着くだけ。そこだけやったと思う」
もともと“当たっていた”状態だったうえ、阿部は強い想いで広島戦に臨んでいた。結果にこだわる姿勢が、ゴールとなって結実したのだ。
「勝ち切れていないゲームが続いたので、どんだけ内容が悪くても勝たないと、セカンドステージも厳しくなる。絶対に結果を出さないとアカンというのもあった」
G大阪は3試合連続未勝利と苦しい状態が続いていたが、久しぶりの勝利に吹田スタジアムは大いに沸いた。阿部の美しい一撃が、果たして“快進撃”の始まりとなるか。