6人の高校生プレーヤーがJ開幕戦で好アピール! その活躍ぶりは?

開幕戦で2018シーズン1号弾の田川は19歳だったが…。

 Jリーグは2月23日のサガン鳥栖対ヴィッセル神戸で2018シーズンの戦いの火蓋が切られ、24・25日にはJ1とJ2の1節のゲームが各地で行なわれた。ワールドカップイヤーとなるシーズンだけに、本大会出場を狙う選手たちのアピールも熾烈を極めそうだが、ヤングプレーヤーの台頭も著しい。

 23日の開幕戦で2018年の第1号ゴールを決めた鳥栖の田川亨介は、今月11日に19歳の誕生日を迎えたばかり。自ら奪ったPKを冷静に沈めて、ホームサポーターの喝さいを浴びている。さらに鹿島アントラーズの安部裕葵も19歳28日という若さで開幕スタメンの座を勝ち取っているが、彼らよりもさらに若い選手たちが開幕戦からいきなり好アピールを見せている。

この週末に行なわれた計20試合の開幕ゲームのうち、この春に卒業する3年生を含めた高校生の選手が、じつに6名も出場しているのだ。ここからはその6名の選手たちの活躍ぶりを紹介していきたい。

まずは、昨年11月にプロ契約し、すでに昨シーズンの33節・サンフレッチェ広島戦でプロデビューを飾っているFC東京の久保建英だ。浦和レッズとの開幕戦は72分からの途中出場で、随所にセンスを感じさせるパフォーマンスを発揮。終盤には東慶悟とのコンビネーションでゴールを狙い、惜しくも枠を外したが、スタンドの観衆を十分に唸らせるものだった。

本人は「あんまり多くボールに関与できたわけでなかったので、次はもっとやれたらいいかなと思います」と語っているが、長谷川監督は次のように述べて、久保がすでに周囲から認められている存在であることを明かしている。
「今日見ていただいて分かるように、大人が一生懸命、彼のために走っている。彼の才能を認めていなければ、周りも『なんだよ』となるが、東、高萩や、永井、富樫も彼の才能を一緒にプレーをして認めているからこそ、足りない部分をみんなでカバーしようとしていた」

今後も後半途中からの起用がメインとなりそうだが、J1レベルに慣れ、プレーの幅を広げていければ、シーズン中のスタメン奪取もあり得るだろう。

G大阪vs.名古屋では3人が出場。

 さらにJ1では、ガンバ大阪対名古屋グランパス戦で3人のU-18プレーヤーが、プロデビュー戦を飾っている。

そのなかでスタメンに抜擢されたのが、G大阪の福田湧矢と名古屋の菅原由勢だ。東福岡高からの新卒ルーキーとなる福田は、ボランチとして先発。今野泰幸が負傷離脱し、手薄となっている中盤で堂々たるプレーを見せた。守備面での対応にはやや課題を残すものの、高精度のフィードで起点となるプレーも随所に披露している。

市丸瑞希とのコンビについても、先輩の遠藤が「ふたりとも良いパフォーマンスを見せられていたと思う。公式戦で初めてコンビを組んだ割には大きな問題もなくやれていた」と及第点をつけた。失点につながったマークの甘さは課題だが、ポテンシャルの大きさを垣間見せるデビューとなった。

一方の菅原は、風間監督の大抜擢によって、開幕直前のトレーニングからセンターバックの一角に加わり、新加入DFホーシャとのコンビで最終ラインを統率。1失点目に絡んだシーンは悔やまれるが、フル出場で開幕戦勝利に大きく貢献している。

昨秋のU-17ワールドカップでも久保らとともに、日本代表の主軸として16強入りに貢献した菅原は現在高校2年生の17歳だ。身長179センチと、センターバックとしてはさほど上背はないものの、開幕戦でも見せた1対1の守備、カバーリングの読みの鋭さ、そして後方からのフィードの正確性など、あらゆる点で「高校レベル」を超越。サッカーダイジェスト担当記者の採点でも及第点以上の「6.5」を獲得している。
途中出場で先のふたりに負けず劣らずのインパクトを与えたのが、G大阪の17歳、中村敬斗である。69分にファン・ウィジョに代わってピッチに立つと、積極的にパスを呼び込んでは果敢にゴールへ向かうプレーを連発。79分には長沢駿の同点ヘッドにつながるワンツーパスでチャンスメイクも。試合に敗れ「もっと練習して決められるようにしたい」と語ったが、ホームサポーターに向けて挨拶代わりのパフォーマンスとなったのは間違いない。

今季、高校2年生ながら三菱養和SCユースから飛び級でG大阪とプロ契約。やはり昨秋のU-17ワールドカップで久保、菅原とともに日本代表として戦い、自身は4得点を挙げる活躍を見せた。高校生離れしたフィジカルと開幕戦でも見せた強烈なシュートは今後も大いに期待が持てそうだ。

U-19日本代表のふたりがJ2で開幕スタメン、勝利に貢献!

 J2では、ともにU-19日本代表候補に選出されている、ふたりのルーキーがスタメンで開幕戦デビューを果たしている。

まずは昨季5位の東京ヴェルディで東京Vユースから昇格した藤本寛也。ジェフ千葉戦でのインパクト十分のシーンは開始8分、藤本が自陣からロングレンジの鋭いスルーパスをドウグラス・ヴィエイラに通す。これで背後を取られた千葉は、増嶋竜也がファウルを犯し一発退場。藤本の正確無比なパスが千葉を追い詰めた。

さらに藤本は、その後のゴール前でのFKも、自ら名乗り出てキッカーを務めている。シュートは枠を捉え切れなかったが、すでに周囲からも一目置かれている様子が見て取れた。右ウイングで先発した藤本はこの日、73分で途中交代。チームは2-1の勝利を収めている。

またファジアーノ岡山で開幕スタメンを勝ち取ったのは、今春、G大阪の福田とともに東福岡高を卒業するDFの阿部海大だ。徳島ヴォルティス戦では、3バックの右のストッパーとして出場すると、ホームの徳島に押し込まれる展開となりながらも要所を締めるディフェンスで得点を許さない。

とりわけ、対峙する相手を物ともしないパワフルな対人の守備と空中戦の強さは特筆もの。後半途中に岡山は10人となりながらも粘り強く凌ぎ切り、阿部はチームの無失点勝利に貢献している。

藤本、阿部はともに2019年のU-20ワールドカップ出場を目指すU-19日本代表における有力候補。来年の世界大会でさらに経験値を高め、2020年の東京五輪へと羽ばたけるのか、注目したいところだ。

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