【G大阪】18歳の中村敬斗とも積極的に対話。39歳の遠藤保仁が示す貢献度と熟練の美技

アンカーの位置でテンポ良くボールを出し入れ

[J1第17節]松本1-3G大阪/6月29日/サンアル

試合前、松本のホームスタジアム「サンプロ・アルウィン」の周りに、開場を待つG大阪のサポーターが列をなす。多くの人たちがユニホームを着用している。誰が一番人気なのか。あくまでも、ざっと見た感じだが、「背番号7」の割合はかなり高かったように思う。

プロ22年目。39歳の遠藤保仁は、J史上初となる20年連続開幕スタメンという偉業とともに今季をスタートさせた。

その後もレギュラーとしてプレーしていたが、12節のC大阪戦からは5試合連続で先発落ち。不動の存在ではなくなったが、それでも途中出場でピッチに立つと、熟練のパスワークと確かな戦術眼で際立つパフォーマンスを披露。そうした活躍が改めて評価されたのだろう。前半戦最後の松本戦で、遠藤は6試合ぶりにスタメンに返り咲いた。

「スタメンを決めるのは監督なので。僕はやるべきことをしっかりとやって、自分の特長を出さないと意味はないとは思っています。それをどんどん出していきたいし、また練習でパフォーマンスが悪かったら出られない。常に自分のストロングポイントを前面に出しながらやっていきたい」

松本戦は、その言葉通りのプレーぶりだった。アンカーの位置で、テンポ良くボールを出し入れしながら、リズムを作っていく。前に走り出そうと準備しているチームメイトがいれば、スパッとグラウンダーの鋭い縦パスを通す。何でもないショートパスや局面をガラリと変えるサイドチェンジ、そして、倉田秋のチーム2点目をお膳立てしたラストパス。抜群の配給力で3-1の完勝へと導いた。

「たくさんボールを受けて、ゲームを作っていくのは、あのポジションの役割のひとつなので。バタバタする時間帯もありましたけど、もう少し改善していきながら、ボール支配率をより高めて、複数得点できるようにしたい」

とにかく、遠藤にはボールがよく集まる。周囲から信頼されているのはもちろん、わずか数歩でもパスコースを作るポジショニングに優れているからだろう。そして、球離れも良い。無駄にキープしないで、正確かつ簡単に捌いて、確実に味方へと届ける。高い技術と非凡な判断力がなせる業である。

「たくさんボールに触って、ゲームを作って、相手を走らせる。特にこれからは夏場なので、相手を疲れさせるっていうこともしないといけないと思うので。これからも、できるかぎりボールを受けながら、リズムを生んで、ゲームを優位に運んでいきたい」

「20代前半の選手よりも良いパフォーマンスを見せないと」

 遠藤と同世代で、まだ現役を続けている選手はいる。だが、怪我やチーム事情などで思うように活躍できていない選手は少なくない。先述したとおり、先発落ちなど遠藤も難しい時間を過ごす時もあったが、着実に“復活”しつつある。まだまだその技巧は衰えていない。むしろさらに磨きがかかり、J1というトップリーグでスタンドを沸かせている。

「この歳になればね、いつレギュラーを外されてもおかしくない年齢だと思いますし、同じようなパフォーマンスなら、20歳の選手が使われることが多いでしょうし。だからやっぱり、20代前半の選手よりも、良いパフォーマンスを見せないと、フィールドには立てないと思うので。それを、プレーで示さないといけない。毎試合、毎試合が勝負。フィジカルの面でも、若手のほうが元気なので。そのへんは経験で上手くカバーしなければいけない部分はある。頭を使いながら、存在感を見せていければいい」

また、プレー面以外でもチームを盛り立てていく。松本戦の試合後には、18歳の中村敬斗とふたりだけで話していたり、試合中でもプレーが途切れれば、「ボールが止まった時がチャンス。その場その場で思ったことを伝えるのが一番良いので」と、積極的に味方に声をかける遠藤の姿があった。

「敬斗に関しては、まだ若い選手で、不慣れなポジション(左ウイングバック)をやっているので、なかなか上手くいかないところはあると思いますけど、動き出しのタイミングだったり、ポジショニングだったりは、常に声を掛け合いながらやらないといけないので。まあ、若い選手がどんどん出てきていますし、経験豊富なベテランともコミュニケーションを取りながら、ゲームを作っていきたい」

松本戦の自身の出来については、「もっとやれると思う。まだまだ満足はしていない」。物言いは静かだが、モチベーションはすこぶる高い。「次の試合に出られる保証はない。毎日アピールして、若手に負けないようにやっていきたい」と意気軒高だ。

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