【25年目の大阪ダービー 因縁の歴史 戦力分析編】組織的堅守か、個の破壊力か。きょう激突

きょう28日にヤンマースタジアム長居で行われるC大阪―G大阪の「大阪ダービー」。リーグ戦順位ではC大阪6位、G大阪12位と差が開いてはいるが、通算成績では23勝9敗5分とG大阪が大きくリードしている。運命の一戦を前に両チームの戦力をチェックし、展開を占う。

〈1〉攻撃面

【C大阪】

直近3試合の大阪ダービーでは、いずれも無得点に終わったC大阪。今季のリーグ総得点はワースト5位タイの29点と物足りなさは残る。一因にあげられるのは、前線の選手に負傷者が多いこと。今季、札幌から加入したFW都倉は5月に長期離脱。司令塔の元日本代表MF清武も、8月末の練習で右太もも裏を痛め戦列を離れた。

守備からリズムを作っていく今のセレッソにとって、鍵を握るのは先制点。先手を取ることができれば、堅守からのショートカウンターなど得意のパターンに持ち込むことができる。清武の離脱後に左MFを務める元日本代表FW柿谷が、敵陣ゴール前で攻撃にアクセントを与えられるかに期待がかかる。

【G大阪】

前節の鳥栖戦で7試合ぶりの勝利を挙げたが、得点はFW渡辺の1点のみ。公式戦はここ4試合続けて1得点と、破壊力のある攻撃は見せられていない。豪華なFW陣を抱えるが、今夏に大きくメンバーが入れ替わったことも響き、コンビネーションより個の打開力に任せる点も多い。

キーマンは今夏の復帰後、7試合で1得点と本領発揮が待たれるFW宇佐美と、MF小野瀬の出場停止により、移籍後初先発の可能性もあるMFスサエタ。宇佐美は8月23日・鹿島戦で左足指を負傷。痛み止めとワンサイズ大きいスパイクを履くことでしのいできたが、その負傷もやっと癒え、鳥栖戦では無得点もシュート6本と復調気配だ。スサエタはチームメートの評価も上々で「技術もスピードもあって、なんでもできる選手」と倉田。右サイドからのチャンスメークで、攻撃をリードできるか。

〈2〉守備

【C大阪】

特筆すべきは、リーグ26試合で全チーム最少の20失点というC大阪の堅守ぶり。今季から指揮を執るロティーナ監督(62)によるコンパクトな守備陣形は相手にスペースを与えず、1試合平均の失点数0・77というハイパフォーマンスを発揮している。

過去のダービーでC大阪が相手を無失点に抑えたのは、2―0で勝利した03年7月が最後。以降はガンバの攻撃サッカーの前に屈してきた形だが、今回は同様の展開にはならないとみる。宇佐美、パトリックとG大阪のアタッカーは5月の対戦時にはいなかったが、DF丸橋は「相手を気にせず自分たちのサッカーができれば」と話した。

【G大阪】

前回5月の大阪ダービーは3バック(3―5―2)で完封したが、今回は4バック(4―4―2)で挑む可能性が高い。中盤の枚数は減ったが、MF井手口が豊富な運動量で広いスペースをカバーする。3バック時は両ウイングバックを下げた5バックでしのぐ時間もあったが、いかに中盤と最終ラインが補完し合ってスペースを消し続けられるかが鍵になる。

ショートカウンターを得意とするC大阪に対し、ボールを保持する時間が長くなることも予想されるが、低い位置でのボールロストは即失点に直結する。MF遠藤を中心とした安定したビルドアップで、“攻撃は最大の防御”という展開に持ち込みたい。

〈3〉采配

【C大阪】

現在のスタイルがフィットしてからは、フォーメーションと先発メンバーを固定したロティーナ監督。試合でも積極的にカードを切っていく印象はない。その一方で、控えメンバーの活躍が目立つのも最近の特徴といえる。1日の川崎戦では、8月に新加入したFW鈴木が後半の交代直後に決勝点。前節の浦和戦(13日)でも、後半から出場したMF田中が決勝ゴールを決めた。拮抗した展開となった場合、指揮官がどうタクトを振るか注目だ。

【G大阪】

東京V時代にロティーナ監督と仕事をしたトニ・プエルトフィジカルコーチからの情報も元に、試合展開を予想しているという宮本監督。特に前線のカードは技の宇佐美、パワーのパトリック、意外性のアデミウソン、万能型の渡辺と豊富なだけに、まずは2トップのチョイスに注目が集まる。さらに「ダービーは普段以上のパワーが選手から出るということは、タッチラインから見ても両チームある。途中から入る選手も、大きく試合を動かす」とも。先発の選手をどこまで引っ張り、誰を切り札とするのか。若き指揮官の手腕に期待がかかる。

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