熾烈なJ1残留争い。9クラブが勝ち点差「6」の大混戦…どこが生き残り、どこが転落するのか

残すところ5試合のみとなった2019シーズンの明治安田生命J1リーグは、近年まれに見る混戦模様で終盤戦に突入した。特に残留争いは18クラブの半数がわずかなポイント差でひしめき合う大混戦となっている。果たしてどこが生き残り、どこが転落するのか。より一層の注目が集まるJ1残留争いを展望していく。

9位から降格圏まで勝ち点差はわずか「6」
29試合を終えたJ1は、残すところは11月と12月初旬に行われる5試合のみとなった。29節終了時点で残留を決めているのは、6位の川崎F(勝ち点48)以上の6チームだが、7位大分(同43)と8位札幌(同40)も、平均的な残留ラインとされる40ポイントに到達しており、残り試合で全敗でもしない限りは、残留はほぼ手中に収めたものと言える。

一方で9位のG大阪から17位松本までの勝ち点差はわずか「6」と史上まれに見る混戦模様となっている。29節終了時にはG大阪から13位清水までの5チームが勝ち点35で並び、わずかな差で14位名古屋(同33)、15位鳥栖(同32)、16位湘南(同31)、17位松本(同29)、そして最下位の磐田(同22)が続いている。

まず、9位G大阪は5試合中4試合が残留を争うチームとの直接対決を控えており、厳しい戦いが続く見込みだ。最終節の浦和戦までに残留を確定できていれば御の字だが、引き分けの多さが目立つだけに、勝ち点をいかに積み上げるかが、ポイントとなりそうだ。

とりわけ、前節の川崎F戦では宇佐美貴史やアデミウソンを欠きながらも、2トップの一角に小野瀬康介を起用した采配が奏功。ドローで終えたものの、貴重な1ポイントを奪っている。ここにきて10番・倉田秋の負傷離脱は痛手だが、新戦力のマルケル・スサエタも徐々にチームにフィット。総力で残り5試合を戦い抜く覚悟だ。

10位神戸は上位陣との2試合(C大阪、鹿島)に加えて残留を争う3クラブ(仙台、名古屋、磐田)との対戦を控える。夏の補強が成功し、一時は好転の兆しを見せていたが、直近2試合は上位相手に2連敗中。2試合で9失点を喫するなど守備に綻びが見えている。久しぶりに戦列復帰したルーカス・ポドルスキの存在が、攻撃陣にどんなアクセントをもたらすのか。10番の復活はヴィッセル残留のカギを握ることになりそうだ。

11位の仙台は、ここから3試合で神戸、清水、G大阪との直接対決に臨む。ここでライバルをしっかり叩くことができれば、残留への道は拓けてくるだろう。一方でこの3試合で多くの勝ち点を落とすようなことがあれば、ラスト2試合(大分、広島)で苦しい戦いを強いられることになりそう。出場停止明けのシマオ・マテが前節の名古屋戦で抜群の安定感を見せたことを考えれば、このモザンビーク代表DFの存在は、仙台の命運を握ると言っても過言ではない。

そして、準決勝に進出したACLとは裏腹に、リーグ戦で苦しみ続ける12位浦和も残留争いに巻き込まれている。浦和は他チームとは対照的に、鹿島、広島、川崎F、FC東京といった上位陣との対戦が控える。優勝を争うクラブの自力が勝るのか、それとも浦和の残留へ対する執念が実を結ぶか。大槻毅体制となり16試合でわずか4勝と勝ち星が伸びない現状をいかに打破するのか、注目が集まる。

15位~17位は勝ち点「3」の攻防
13位の清水は次節、最下位磐田との静岡ダービーに臨む。清水にとっては勝てば残留へ大きく前進する一方で、磐田もあとがないだけに是が非でも3ポイントが至上命題となる。特に磐田は他試合の結果次第では残留圏への浮上が極めて難しくなるということもあり、ここに来ての静岡ダービーは激戦必至の一番となりそうだ。

14位名古屋は、マッシモ・フィッカデンティ新体制で未だ勝利がない。この先はタレント揃う神戸、勝ち点が拮抗する鳥栖、最終節には現在トップを走る鹿島との対戦が控えており、予断を許さない状況にある。下のチームが勝ち点を積み重ねれば、一気に降格圏に転落する可能性もあるだけに、まずは次節の札幌戦で8試合ぶりの白星&新体制初勝利を掴みたい。

15位鳥栖から17位松本は勝ち点3の攻防となっている。長らく16位以下に沈んでいた鳥栖は前節、磐田と引き分けたものの、久しぶりの安全圏に浮上。2年連続の逆転残留へ士気を高められるか。

逆に4連敗中の湘南がJ1参入プレーオフ圏となる16位に転落している。浮嶋敏新体制初陣となった横浜FM戦も完敗。ピッチ外での問題も重くのしかかり、残留へ黄信号が灯り始めている。

一方で松本は17位から変わらずも、ここ3試合で勝ち点7を奪取。2トップ2シャドーの攻撃的布陣にシフトチェンジしてからは、FC東京や鹿島といった上位陣からもしっかりと勝ち点をもぎ取っている。松本は次節の結果次第で一気に残留圏に浮上する可能性も出てきた。

残り5試合で残留争いの構図に変化は見られるのか。注目の第30節は11月2日と3日に開催される。

9位~18位の残り5試合日程
9位:G大阪[勝ち点35・得失点差-2]

30節:vs 湘南(BMWス)
31節:vs 大分(昭和電ド)
32節:vs 仙台(パナスタ)
33節:vs 松本(パナスタ)
34節:vs 浦和(埼玉)

10位:神戸[勝ち点35・得失点差-3]

30節:vs 仙台(ノエスタ)
31節:vs 名古屋(豊田ス)
32節:vs C大阪(ノエスタ)
33節:vs 鹿島(カシマ)
34節:vs 磐田(ノエスタ)

11位:仙台[勝ち点35・得失点差-6]

30節:vs 神戸(ノエスタ)
31節:vs 清水(ユアスタ)
32節:vs G大阪(パナスタ)
33節:vs 大分(ユアスタ)
34節:vs 広島(Eスタ)

12位:浦和[勝ち点35・得失点差-12]

30節:vs 鹿島(カシマ)
31節:vs 広島(Eスタ)
32節:vs 川崎F(埼玉)
33節:vs FC東京(味スタ)
34節:vs G大阪(埼玉)

13位:清水[勝ち点35・得失点差-21]

30節:vs 磐田(アイスタ)
31節:vs 仙台(ユアスタ)
32節:vs 大分(アイスタ)
33節:vs C大阪(ヤンマー)
34節:vs 鳥栖(アイスタ)

14位:名古屋[勝ち点33・得失点差-3]

30節:vs 札幌(札幌ド)
31節:vs 神戸(豊田ス)
32節:vs 鳥栖(豊田ス)
33節:vs 磐田(ヤマハ)
34節:vs 鹿島(豊田ス)

15位:鳥栖[勝ち点32・得失点差-18]

30節:vs 横浜FM(駅スタ)
31節:vs 松本(駅スタ)
32節:vs 名古屋(豊田ス)
33節:vs 札幌(駅スタ)
34節:vs 清水(アイスタ)

16位:湘南[勝ち点31・得失点差-20]

30節:vs G大阪(BMWス)
31節:vs C大阪(ヤンマー)
32節:vs FC東京(味スタ)
33節:vs 広島(BMWス)
34節:vs 松本(サンアル)

17位:松本[勝ち点29・得失点差-14]

30節:vs C大阪(ヤンマー)
31節:vs 鳥栖(駅スタ)
32節:vs 横浜FM(サンアル)
33節:vs G大阪(パナスタ)
34節:vs 湘南(サンアル)

18位:磐田[勝ち点22・得失点差-21]

30節:vs 清水(アイスタ)
31節:vs FC東京(ヤマハ)
32節:vs 札幌(札幌ド)
33節:vs 名古屋(ヤマハ)
34節:vs 神戸(ノエスタ)

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