【現役の眼】元日本代表MF、橋本英郎が見たベネズエラ戦のポジティブ要素。流れを作ったのは4人のJリーガー

世界とJリーグの距離を測るうえで格好の試金石に
11月19日に行なわれたキリンチャレンジカップのベネズエラ戦は、国内組には代表に食い込んでいける絶好のチャンスでした。相手もFIFAランキングで日本の28位よりも少し上の26位で、良い相手が来てくれました。

今回のベネズエラは南米特有の嫌らしさを持っている楽しみな相手。迎え撃つ日本は、海外組数名のほかは、基本的に国内のJリーガーたち。世界とJリーグの距離を測るうえでも格好の試金石になりました。

試合を分析するにあたり、前半と後半ではまったく別の戦い方をしたのではないかと思うほど違いました。今回は、後半に注目して考えてみたいと思います。

試合はご存知の通り、前半だけで4失点。つまり後半開始時点で4点差ということもあり、事態の打開を図るべく投入された交代選手のプレーがポイントになりました。

まずは立ち上がりから出場した古橋選手と三浦選手。このふたりが入ったことで、前線のプレスのポイントが明確になりました。

三浦選手は最終ラインの押し上げをかなり意識して声掛けをしていました。その効果が、日本の最終ラインとボランチの間にあったスペースを、前半はベネズエラFWに好きなように使われていましたが、後半はその起点を作らせないことに成功しました。

古橋選手は、守備のアクションをハッキリ分かりやすくすることで何度か引っかけてボールを取れそうになっていました。

また日本のビルドアップの際には、中間ポジションを取ってボールを引き出す、また前線の裏へ走り込む動きなど、アクションが明確で他の選手も合わせやすくなっていきました。

これによって後半の流れは日本に傾いてきました。

この流れに拍車をかけたのが、次の交代選手として投入された永井選手、山口選手です。永井選手はファーストプレス、1番目のプレッシャーを相手DF、GKに全力疾走でかけました。その瞬間、サポーターの声が盛り上がるのを見ていて感じました。

それほどプレッシャーをかける勢いが前半の前線と違ったからです。そのスピードが相手の判断する時間を奪っていきます。それに加えて原口選手の前半から繰り返していた前線へのプレスが、2番目にボールを受けた相手DFにも効果的に圧力がかかるようになりました。

後半の戦い方は普段からコンビネーションを合わせていないチームにとって有効なやり方
MF、DFラインの選手もコンパクトな状況になっていたので、面白いようにボールを回収していきました。その連動の奪い取る場面では山口選手が出てきます。

このプレスの連続から最終的には永井選手起点からグラウンダーのパスを山口選手がペナルティエリア外側からシュートしてゴールになりました。

強気な前向きなプレーがゴールを呼び込みしました。多少ミスキック気味のシュートでしたが、その思い切りの良さが相手選手に当たり、ゴールに入るという結果に繋がったわけです。

最終的なスコアは4対1。後半、ベネズエラは4点差で勝っていることもあり、ペースが落ちた部分はありましたが、勝つ方法を国内組でも少し見せてくれたと僕は捉えています。ネガティブな要素がたくさんあった試合でしたが、その中からでもポジティブな要素は次戦に繋げていってもらいたいです。

後半から見せた戦い方は、普段コンビネーションを合わせていないチームにおいて、ひとつの有効な方法です。ハイプレス、全力守備から前線へ向かって全力で推進力を生み出し、湧き出るように攻撃参加をする。

リスクはありますが、リスクをみんなで感じ、それをみんなでカバーし合う。2次予選の間に、このようなメンバーでの試合をひとつでもいいのでみたいものです。

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