【G大阪】新戦力インタビュー・小野裕二 引退した先輩の言葉で再燃した代表への思い

G大阪に新加入したFW小野裕二(27)がスポーツ報知のインタビューに応じ、移籍を決断した理由などを明かした。横浜Mではユース所属の17歳でデビューし、20歳で海外移籍も経験。今季、タイトル獲得と日本代表入りという目標を掲げてG大阪入りを選んだ背景には、かつて横浜M時代にあこがれた先輩からの「日本代表に入ってほしい」という言葉があった。(取材・構成=金川誉 インタビューは沖縄・1次キャンプで実施)

―G大阪への移籍を決断した理由は?

「年明けぐらいにガンバからオファーをいただいて、タイトルを取りたいという気持ちが強くなった。あとはここでコンスタントに試合に出られれば、日本代表が近いと思ったので。そこにチャレンジしたい気持ちが強かった。去年のシーズンが終わった後に、鳥栖からもオファーをいただいて、残ってほしいと言ってもらった。僕も前向きに考えていました。でもガンバからオファーをもらって、自分の中で勝負したいという気持ちが強くて。鳥栖にはお世話になりましたし、サポーターの方々に、もっともっといい景色を見せたかった、という思いもあります。ただ自分のキャリアを考えた時、タイトルを取りたい、日本代表に入りたいという思いが強かった。27歳、ここに来たのがラストチャンス、というくらいの気持ちです。それぐらいの覚悟を持ってきました」

―G大阪の宇佐美選手とは同級生で、デビュー時期も同じ。年代別の代表でも交流はあったと思うが、連絡は?

「連絡先は知っていたんですけど。クラブハウスにくるまで一切、連絡は取っていなくて。始動の日に初めてしゃべりました。『連絡しろよ!』と言われました。まあ、どうせ会うからいいかと」

―タイトルと同時に、日本代表、というワードが何度も出てきた。その理由は?

「マリノスにいたとき、海外に行って日本代表に入りたいと思っていた。海外に行くところまではいったんですけど、怪我をしてしまったのも、自分の実力不足もありました。成功できずに(日本に)帰ってきて、鳥栖で3年。日本代表に入りたい、という気持ちが、自分の中で消えかかっていたのは正直、ありました。ただ応援してくれる人に、代表に入ってほしいと言ってもらえたのは自分の中で大きかった」

―選手によっては、日本代表はクラブで活躍した結果という考えで、目標に挙げない選手も多いが

「鳥栖では試合に出て結果を出す、ケガをしないで1シーズン過ごすことを目標にやっていたんです。でもそれだけじゃだめだと。もともと、自分が掲げていた日本代表という目標があった。全然思い描いた道とは違うものになっちゃいましたけど、目指さないといけないと。あとは辞めていった先輩、今年でいうと(横浜M、日本代表でも活躍し、昨季限りで現役引退した)栗原勇蔵さん。マリノス時代にかわいがってもらっていました。あの人達が代表に入っているのを見て、もっと頑張ろうって思っていて。引退されたときに話す機会があったのですが、がんばって代表に入ってくれよ、とか、もっと活躍してくれよ、って言ってもらえた。そういう人の思いを考えたとき、代表に入れるか入れないかは別として、チャレンジしないといけない、チャレンジしたいと。鳥栖で一緒にやった(元横浜Mの)小林祐三さんにも、お前は代表に入らなきゃいけない、という話をしてもらった。そういうものが自分を動かしたというのはありました」

―覚悟を持ってG大阪に加わった。これまでのキャリアで、分岐点だと感じたところは?

「自分のキャリアを見たとき、やっぱりどこが一番輝いていたかと言えば、マリノスで試合に出ていた時だと思う。その時は若かったし、とにかく海外にいきたいという一心でやっていた。そして海外に行って、ケガをして。でもケガしようが問題があろうが、いい選手は試合に出続けられるんですよ。海外では監督が代わって、いきなり構想外になる選手もいます。僕も経験しました。でもその時でも、いい選手は次へ行くからいいよと移籍して、次のところで試合にしっかり出るんですよ。何が正解かと言えば、試合に出続けている選手がすごいな、と僕は思う。だから、ここでポジションをつかみ取ったときには、もっと自分のチャンスが広がるな、と思うし、それにチャレンジしなきゃいけないなと思ったんです」

―沖縄での1次キャンプでは、3―5―2のインサイドハーフでプレー。このポジションでアピールしたいポイントは?

「まずはチームとして、ボールを保持したいとき、経由地点にならなければいけない。あとはゴール前にどれだけ飛び出していけるか。それは今シーズン、自分の課題です。速いだけではだめ。タイミング、場所、もちろんスピードも。ここは足元に自信のある選手が多いので、足元で受けたがると思う。そういう選手がいるなら、自分が裏でスペースを突かなきゃいけない。どちらかと言えば、技術より判断の方が、大事な気はします。特徴は違っても、技術はみんな持っている。何が違うかと言えば、頭でどういうイメージを描いているかと、ポジショニング。ゴールを取るために、ここで受ける。味方を生かすために、ここに走る。そういうものが大事かなと」

―G大阪では激しいポジション争いもある

「どこにいてもポジション争いはあると思います。確実に出られる保証は、誰もない。ただ、日本代表を見たときに、ガンバ、東京、マリノスの選手が入っている。こっちで自分のポジションを勝ち取れば、もっとチャンスが広がるんじゃないかと。チームがまず勝つ、優勝する、そこでコンスタントに出る、ということをしないといけない。自分が点を取らなくていい、アシストしなくていいというわけじゃない。そこは、しないといけないこと。それは大前提とする上で、勝つためになにを選ばないといけない、ということ。まずはチームの勝利、チームのゴール。そこに自分のゴールがあれば、なおうれしいと思います」

◇小野 裕二(おの・ゆうじ)1992年12月22日、神奈川・横須賀市生まれ。27歳。横浜Mユース時代の10年7月のトップチームに登録され、同17日の広島戦でJ1デビュー。11年には背番号10を与えられ、公式戦7ゴール。13年1月にベルギー1部・Sリエージュへと完全移籍。15年1月に同1部のシントトロイデンへ移籍。17年にJリーグに復帰し、鳥栖へ加入。J1通算147試合15得点。170センチ、62キロ。

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