戦術など知らなくてもサッカーは華やかで面白い。そんな印象を与えてくれたのが…【SD編集長が選ぶJ歴代最強チーム】

「優勝して当たり前」というプレッシャーを撥ね退けて

【サッカーダイジェスト編集長が選ぶJ歴代最強ベスト3】
1位 1993年のヴェルディ川崎
2位 2014年のガンバ大阪
3位 2002年のジュビロ磐田

Jリーグ元年、「超」が付くほどの個性派集団がシーズン序盤は躓きながらも、最終的に鹿島アントラーズとのチャンピオンシップを制して初代王者に輝く。戦力的に「優勝して当たり前」というプレッシャーを撥ね退けて、憎たらしいほどの勝負強さを披露した当時のヴェルディ川崎こそ歴代最強のチームだろう。

老獪な守備、華麗なパス回し、そしてゴール後のカズダンス。スタジアムで描かれるそれらの風景が極上のエンターテインメントだった。「戦術など知らなくても、なんだかサッカーって華やかで、面白い」。そんな印象を与えた点でも、この時代のヴェルディは素晴らしい。

MVPは当然ながら三浦知良。期待通りにゴールを量産し、エースとして最高級の輝きを放つ。Jリーグの初代MVPに選ばれるあたりも、千両役者だ。MIP(最も印象に残った選手)は、93年の夏に加入したビスマルク。プレーがシンプルかつ正確で、チームの中盤に安定感をもたらした功績は大きい。基本技術の重要性を改めて教えてくれた助っ人でもある。

14年のガンバ大阪はシーズン中盤戦からの勝ちっぷりが“最強”。シーズン序盤こそ勝ち星に見放されたが、夏(7月1日)にFWのパトリックが加わると怒涛の快進撃を見せた。リーグ戦で15節から5連勝、21節から破竹の7連勝を飾りV字回復すると、11月8日のリーグカップ決勝では広島を相手に0-2から逆転勝利。その勢いを駆ってJ1・32節の浦和との大一番を2-0で制し、最終的にリーグ制覇。さらに天皇杯のファイナルでは山形を圧倒して見事3冠を成し遂げた。

リーグカップ決勝を劇的な形でモノにしたあたりから本当に“良い風”が吹き、あれよあれよとタイトルを獲得。サッカーにおいて勢いも重要なファクターであることを教えてくれたチームでもあった。MVPはその勢いをもたらす起爆剤になったパトリック。宇佐美貴史の攻撃力を引き出した点はもちろん、リーグカップ決勝での2得点など貴重なゴールが少なくなかったのも選出の決め手となった。

高原は完全無欠のストライカーだった

隙のなさで言ったら、02年の磐田が最強。名波浩、藤田俊哉らほとんど地元出身者のチーム構成で、年間30試合のリーグ戦でわずか3敗。1点差勝利が13試合と接戦を制す粘り強さも特筆に値するもので、完全優勝(第1、第2ステージをともに制覇)という結果も文句なしだ。

個と組織が上手く融合したチームで、視覚的に楽しいサッカーを展開していた点も素晴らしい。なかでも、強烈なインパクトを放ったのがこのシーズンの得点王に輝いたFWの髙原直泰。どんなパスにも柔軟に対応し、両足のシュートだけでなく、ヘディングも強烈で、まさに完全無欠のストライカーだった。こういうアタッカーがいると、チームメイトは相当楽だったに違いない。

1990年代後半から2000年代頭に磐田が黄金時代を築けた背景には、おそらく鹿島という強烈なライバルの存在がある。実際、01年に鹿島とのチャンピオンシップに負けたから、02年はより結果にこだわり、完全優勝を成し遂げたという。良きライバルがいて、こうした偉業を達成できたと、そんな見方もできるのではないだろうか。

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