ガンバが獲得した2019年のU-15年代最高クラスの才能。街クラブの超逸材はなぜ世代最強チームを選んだのか?

夏冬の王者が獲得に名乗りを上げた逸材

昨年の3種年代において夏のクラブユースを制したのはサガン鳥栖U-15、冬の高円宮杯の頂点に立ったのはガンバ大阪ジュニアユースだった。近年育成に力を入れて成果も出してきている前者と、多くのA代表選手を輩出している国内屈指の育成の名門である後者。この二者が、とある街クラブのストライカーの獲得に名乗りを上げた。そして、最終的に“争奪戦”を制したのはG大阪だった。

MIOびわこ滋賀U-15からG大阪ユースに加入 した池田怜央が争奪戦の渦中に居た選手だ。彼が表舞台に彗星のごとく現われたのは、帯広で行なわれた昨夏のクラブユースである。Jクラブを次々に撃破しベスト8に進出し、大会に旋風を起こしたチームを最前線で引っ張り、11ゴールを挙げて得点王に輝いた。

MIOはこの大会において、守備から入り前方のスペースをFW陣が活かすカウンター戦術を採ったのだが、これが池田の爆発を促した。長いストライドで相手の前方へ潜っていくドリブルと遠目からでも枠を射抜くパンチ力あるシュートが面白いほどハマり、福岡、札幌などのJクラブから金星を奪う原動力となったのである。

「もともとシュートにもパンチ力があって上手いし、あとは自分の形に入ったら止められない。ドリブルの時に相手をすり抜けることもできる。その自分の間合いと、“飛び込めない”感がありますね」
MIO U-15を率いる夘田貴之監督は池田の凄みをこう評す。ただ、このクラブユースでの大爆発には「僕もびっくり」と監督自身も驚きを隠せずにいた。

そして、その大会の優秀選手たちが東西2チームに別れて争うメニコンカップでも池田は2得点を挙げ、大会MVPの座を射止めた。

「あの大会がなければ今の進路もなかった」と池田本人は語るように、この夏で彼の株は一気に上昇。強豪校やJクラブが彼へ触手を伸ばし始めたなか、選んだのはG大阪ユースだった。

冒頭に記した通り、G大阪は高円宮杯で優勝し、頂点を取ったチーム。そして、同期のFWには南野遥海と鈴木大翔というアンダーの代表で常連の2人がいる。もちろん、どこへ進んだとて確約されたポジションはないが、最も難しい場所へ飛び込んだと言っても過言ではない。

“世代最強”のチームを選んだ理由。アカデミー首脳陣も評価するのは…

それでも、世代最強チームを戦いの場に選んだ理由を池田はこう語る。

「(試合に)出られないかもという思いはありました。ただ、ガンバは強烈な選手が2人(鈴木と南野)いるので、そこにどれだけ自分が入り込めるか勝負をしたかったんです。それに、ガンバは誰もが知っているようなチームでユースも名門。自分を磨くならここしかないと思って、決めました」

あえて、難しい環境に飛び込んだ形になる。加入を決める前段階の練習参加では「決定力や、止める蹴るの技術、個人の能力が全く違う」と周囲に驚きを隠せず自身とのレベルの差を感じた。ただ、改めて正式にメンバーの一員となって日々を過ごす中で、通用する部分を感じたとも言う。

「自粛が空けて6月になってやっと入寮できて練習も始まりました。そこで、それまでずっと分からなかったんですけど、シュートの部分では戦えるなと。ここで競っていきたいですね」

20年以上、横浜F・マリノス の育成組織に携わり、今季よりG大阪のアカデミー・ヘッド・オブ・コーチングに就任した坪倉進弥氏も「シュートレンジの広さとパンチ力は、良いものがある」と口にする。

そして、MIOの指導者陣は口を揃えてこう言っていた。
「(池田)は、最後に決める力を持っていた」

広大なスペースを活かす戦術の中で存在感を出してき一方、ブロックを作り“守り”に主眼を置く相手と対峙する中、狭いスペースをすり抜けていく技術とアイデアはまだ足りない部分と本人も自覚する。

ただ、彼に関わる周囲の人物が認めるゴールを奪う力、得点の感覚というのは、技術を教える以上に難しい。この部分を備えているだけで 大きなアドバンテージでもある。

「日本代表になりたい」こう夢を語る滋賀の街クラブが生んだスター候補生が歩む道のりは険しいことは間違いない。ただ、決して真似できないスペシャリティが彼をさらに上の舞台に押し上げる可能性は大いにあるだろう。

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