【J1展望】川崎×G大阪|ホームで戴冠なるか、眼前優勝を回避か。勝負を分けるポイントは?

川崎――鬼木監督は「今までにない感情」が芽生えたと振り返る

J1リーグ29節 川崎フロンターレ - ガンバ大阪 11月25日(水)/18:30/等々力陸上競技場

川崎フロンターレ 今季成績(29試合消化時点):1位 勝点72 23勝3分3敗 74得点・25失点

【最新チーム事情】

●前節、“勝てば優勝”という大分戦に0-1で敗戦。前半にエリア内で相手を倒したCB谷口彰悟が退場。そのPKで奪われた1点を返すことができなかった。

●翌日に浦和と対戦した2位のG大阪が引き分け以下に終われば、川崎の優勝が決定していたが、2-1で逆転勝利。G大阪との勝点差は「14」となり、今節の直接対決で、川崎が勝点1をプラスできれば、2年ぶり3度目の優勝を決められる。

【担当記者の視点】  大一番と据えた大分戦に敗れ、気持ちの切り替えが必要になりそうだが、試合後に「まずはガンバ戦の準備をしていきたい」と話していた鬼木達監督は、浦和とG大阪の一戦を観て「今までにない感情」が芽生えたと振り返る。

「ひとつは、対ガンバへの準備として、スカウティングの意味で見ていました。今までの自分だったら、1日でも早く優勝が決まってほしいと思っていましたが、今回に限ってはもう一回、自分もチームもチャレンジしたい、させたいという想いがあったというか……。最後にガンバが勝ちそうな時に(スコアは)このままでという想いになったんです。自分にそういう気持ちがあったんだなと。選手にそういう話もしました。

もちろん監督として大分で決めたかったですし、違う形で決まっても良いと思っていましたが、やはり今年は特別なのかなと。コロナの影響があり、なかなかお客さんが来れないなかで、もう一回チャレンジできる機会があるのならば、もう一度チャレンジしたい。戦う姿勢を見せたいです」

過去2度のリーグ優勝は、他会場の結果も絡んでの戴冠だったが、大分戦に続いて訪れた“自力優勝”のチャンス。さらにホーム等々力でシャーレを掲げられる絶好機だ。

G大阪戦では、前述したように大分戦で退場処分になったキャプテンの谷口が出場停止。それだけに改めて総力戦、チームとしての真価が問われる一戦になる。

指揮官がポイントに挙げるのは「気持ちの部分」であり、「ガンバは越えなくてはいけない相手。受けに回らずに、うちは失うものがなにもないように、前に進む姿勢をずっとやってきた。それを出したい」と話す。

その想いは「優勝がかかっている試合なので、気持ちの準備が必要になると思う。過去2回の優勝では他力もありましたけど、初めて自分たちの結果次第で決められるところまで来ているので、自分たちを信じて、自分たちで決めたい」と意気込む小林悠ら選手も同様だ。

今季は、敗れた大分戦、札幌戦のように3バックの相手に前線からのプレスがハマらず、苦戦する傾向が強く、G大阪がもし3バックを組んできた際に備えて修正も必要だろう。

果たして10連勝、12連勝と2度のリーグ記録を打ち立てた今季の強さを再度証明し、ホームで待望の瞬間を迎えられるか。勝てば4節を残してのリーグ最速優勝が決まる歴史的な瞬間となる。

G大阪――求められるのは勝点3のみ…目の前でのVは阻止せよ!!!!

J1リーグ29節 川崎フロンターレ - ガンバ大阪 11月25日(水)/18:30/等々力陸上競技場 ガンバ大阪 今季成績(29試合消化時点):2位 勝点58 18勝4分7敗 41得点・33失点

【最新チーム事情】

●前節・浦和戦は2-1の逆転勝利。4失点大敗した前々節・仙台戦から守備の立て直しに成功。

●MF小野瀬が浦和戦で負傷交代。回復具合について宮本監督は明言を避け情報戦に。

●負傷を抱えていたDF三浦がJ3岩手戦(22日)で戦列復帰。今節のベンチ入りも

【担当記者の視点】  すでに今季の目標は明確になっている。天皇杯出場圏内の2位死守、そして川崎の眼前優勝を回避すること。「簡単に優勝を許すわけにはいかない」という宮本恒靖監督だけではなく、選手間でも共通意識として出来上がっている。

ただ勝たなければいけない状況でもスタイルは変えないだろう。宇佐美が「ゼロ(無失点)でいく時間をどれだけ長くできるか。ゼロで粘るのが自分たちの勝ちパターン」と話したように今季のベースとなっている守備を重視した戦いになる。

無尽蔵のスタミナで攻守の要となったMF井手口は欠場濃厚、前節・浦和戦で負傷交代したMF小野瀬の出場も不透明だ。2人とも欠場となれば戦力的に痛い。だが、春季キャンプから取り組んできたハイプレスの成熟度は高まっており、チームの共通理解も高い。大崩れはしないだろう。

MF倉田は「今はプレスにいくところといかないところの使い分けができている。ミスなく、90分間やることが大事」と強調。ボールを握られるのは覚悟の上、押し込まれることを想定する。その中で全員が意思統一できた守備を見せ、川崎の一瞬の綻びを作り出せるか。耐えて、粘って、後半勝負に持っていけるか。「今年、常に先頭に立ってきたチームに対して、我々がどんなチャレンジできるか」(宮本監督)。集大成として位置付けられる1戦になる。

勝つために必要なゴールに関しては、やはり宇佐美の一撃に期待が掛かる。浦和戦では同点弾を決めて逆転への呼び水になった。本人も「活気を生むことができたし、自分が決めることでチームはノッていくと実感した」と、その右足に宿る1得点以上の“パワー”をあらためて感じ取った。

今季積み上げた18個の勝利のうち15個が1点差。さらに先制点を挙げれば13勝3分けと無敗を誇る。ギリギリの戦いを制してきた中、エースの2戦連発で眼前での戴冠を阻止したいところだ。

リンク元

Share Button