遠藤保仁と中村憲剛 40歳の決断 ゼロから尊敬へ『だから僕は決めた ~サッカーがくれた未来~』

元日本代表MFの遠藤保仁中村憲剛。日本サッカーを長年にわたって牽引してきた2人が40歳を迎えた今年、大きな決断をした。

移籍と引退。遠藤は長年プレーを続けたJ1のガンバ大阪からJ2のジュビロ磐田へシーズン半ばに期限付きで移籍。一方、川崎フロンターレ一筋で歩んできた中村選手は今シーズン限りでの現役引退を決めた。

Jリーグや日本代表で活躍してきた二人が大きな転機を迎えた今、キャリアを振り返り、抱いてきた思いを、そして決断の真意を語った。

この選手がいると試合への期待が膨らむ。一本のパスで試合の展開を変え、ゴールを演出し、セットプレーからの得点もある。遠藤保仁と中村憲剛は、そういう違いを生み出す選手だ。

その二人は揃って1980年生まれで今年40歳になった。遠藤はガンバ、中村は川崎で長年クラブの顔として存在感を発揮してきたが、早くから注目を集めアンダー世代から日本代表として活躍してきた遠藤。無名の存在から這い上がってきた中村。プロとして表舞台に立つまでの過程は対照的だった。

ゼロから尊敬へ

遠藤と中村。対照的な歩みをしてきた2人が初めて対戦したのは2005年4月、J1へ昇格した川崎がガンバ大阪のホームに乗り込んだ第3節のリーグ戦。

対戦した遠藤について中村は「盤面で転がされていたイメージ」「この人を超えていかないとA代表には入れない」と強い衝撃を覚えていた。

ところが、一方の遠藤は「全然覚えていない」という。だがそれも、中村が繰り出すパスでFWジュニーニョがゴールを量産するようになると、中村に対する認識が「ゼロ」から「いい選手だな」と変化。「心からサッカーが好きで楽しんでいるな」と見るようになったという。

中村は、常に自分の先を歩んでいた遠藤に「今でも緊張する」と苦笑いするが「お互いの思考を読み合う対戦ができた、数少ない選手だったので、毎回対戦が楽しみ」と語り、常に刺激を受ける存在だったという。

互いに同じポジションで高い技術と戦術眼に裏打ちされたプレーを披露し、チームで大きな存在感を示す。二人の言葉には、互いへの尊敬が見えた。

「現役続行」と「引退」という対照的な決断だが、2人とも自らの信念を頑固なまでに貫くという点では変わらない。そこも、それぞれを日本サッカーの顔にまで押し上げた、2人の持つ「強さ」と言えるのかもしれない。

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