谷晃正「東京五輪の大舞台は目指さないといけない場所」【東京五輪代表戦士たちの現在地】

【東京五輪代表戦士たちの現在地】

谷晃正(20歳・湘南・GK)

東京五輪に挑むメンバー選考の中で、最大の激戦区の一つと言われるのがGK。今回呼ばれている4人は、全員がJ1で定位置を確保している精鋭揃いだ。その中で国際経験に秀でるのが谷晃正。彼は久保建英(ヘタフェ)らとともに2017年U-17W杯(インド)で16強を経験。強心臓ぶりを遺憾なく発揮した。

A代表の正守護神・権田修一(清水)も「谷選手は非常にいいGK。クロスにも落ち着いて出られるし、シュートストップも素晴らしく、キックも精度が高い」と高評価した。それを自信に大舞台をつかみにいく。

「候補者全員がJ1の試合に出ているってことで本当にGK競争のレベルが高くなっている。でも最後の最後まで4人で競い合うのは楽しい。お互い成長して高め合っていければと思います」

弱冠20歳の谷は、ハイレベルなサバイバルを前向きに捉えている。

2021年6月のU-24代表に名を連ねている大迫敬介(広島)、沖悠哉(鹿島)、鈴木彩艶(浦和)中では年齢は下から2番目だが、アカデミーから在籍したガンバ大阪時代は、2017~2019年にU-23チームでJ3・21試合に出場した。

2020年にレンタル移籍した湘南では、昨季J1・25試合、今季も17試合フル出場と年齢以上の豊富なプレー経験を持つ。

そこは森保一、横内昭展両監督からも信頼を寄せられる部分。本人も「試合に出させてもらっている中で責任感は大きくなってきています。失点はGKの責任。そういうことを考えながら戦うことで、ピッチ上での自分の存在感につながってきていると思います」と日に日に自信を深めている。

■川口能活と同じ成功ロードを歩みたいと欲するのなら

早いうちから頭角を現し、年代別世界大会に参戦して俊敏な反応を見せ、そしてキリっとしたイケメンといった部分は、元日本代表GKの川口能活(U-24日本代表GKコーチ)の姿に重なる。

「自分は能活さんに似てますかね? どうなんだろう」と彼は首をひねったが、1998年フランス~2010年南アフリカまで4大会連続でW杯に参戦した偉大なレジェンドと似ているーーと言われて悪い気はしないだろう。

谷が川口能活と同じ成功ロードを歩みたいと欲するのなら、東京五輪はどうしても通らなければいけない道。

ご存じの通り、川口は1996年アトランタ五輪でブラジルから大金星を挙げるという「マイアミの奇跡」の立役者となり、一気にA代表のレギュラーをつかんだ。

東京五輪メンバーの正守護神を手にするというのは、輝かしい未来につながる可能性があるということ。10代の頃から久保のような世界トップを知り尽くす少年と一緒に戦ってきた彼には、その重みがよく分かっているはずだ。

「自分たち東京五輪世代にとって、この大舞台は目指さなければいけない場所。2017年12月のチーム立ち上げ当初のメンバーにも呼んでもらっているので、すごく思い入れがありますし、入りたい気持ちは強いです。自分の武器は守備範囲の広さ。いろんな予測をして少しでも広い範囲を守ろうとつねに意識しています」

その姿勢は、スタメン出場した6月5日のU-24ガーナ戦(福岡)でも色濃く出ていた。

長距離移動で来日して厳格なコロナ対策を施され、しかもユース中心の編成だったガーナに攻め込まれるシーンは少なかったが、谷は最後尾から大声を出しながら吉田麻也(サンプドリア)ら最終ラインをサポート。良好な連携を取りながら無失点試合を目指した。

10歳以上も年長の吉田や酒井宏樹(浦和)を統率するのは、そう簡単なことではないが、谷は年齢に関係なく堂々とした立ち振る舞いを見せた。

その風格も川口能活に通じるのではないか。

12日のU-24ジャマイカ戦(豊田)の出場は微妙だが、彼は最後の最後まで粘り強く五輪メンバー18人枠へのアピールを続けるはずだ。

将来有望な若武者の一挙手一投足を興味深く見守っていきたい。

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