Jリーグの新助っ人を査定! “働きぶり”で「ベスト3」&「ワースト3」を選出〈dot.〉

2月末に開幕したJリーグは、すでに折り返し地点を過ぎ、代替試合を除いて東京五輪の中断期間に突入した。その中で注目したいのが、新外国人選手たちの“働きぶり”である。コロナ禍の中でも、すぐさま結果を残して“救世主”になった者がいる一方、大きな期待を背負いながらも“不良債権”と化してしまいそうな者もいる。現時点での新外国人選手の「ベスト3」と「ワースト3」は一体、誰になるだろうか。

「大当たり」として真っ先に名前が挙がるのが、やはり浦和の救世主FWキャスパー・ユンカーだろう。デンマーク出身の左利き長身ストライカー。昨季、ノルウェーリーグの得点王(25試合27得点)とMVPの実績を引っ提げ、コロナ感染予防の隔離期間を経て4月26日にチームに合流。5月5日のルヴァン杯・柏戦の開始9分に挨拶代わりの来日初ゴールを決めると、リーグ戦では初先発した同9日の第13節・仙台戦から、G大阪、神戸、広島を相手に4戦連発5得点と怒涛の勢いで得点を重ねた。

抜群のポジショニングと高い決定力で多彩なゴールシーンを披露するだけでなく、「王子」と呼ばれるほどの「美しいマスク」と立ち振る舞いで、熱狂的サポーターの心を一瞬で掴んで見せた。第18節の湘南戦に2得点を挙げたのを最後に、4試合に渡って得点から見放されているが、攻撃の組み立ての中でもインテリジェンスの高さを発揮しており、守備も献身的。8月9日のリーグ戦再開後、北欧出身の27歳が“日本の夏”の環境下でパフォーマンスの低下も懸念されるが、チームへの影響力、インパクトの大きさを鑑みれば、現時点では間違いなく「ベスト1」だ。

「ベスト2」には、横浜FMの攻撃における重要な“矛”となっているFWエウベルを選びたい。今年5月に29歳となったブラジル人アタッカー。第2節で途中出場、第3戦でスタメン出場を果たすと、第7節の湘南戦で右足ボレーでの来日初ゴール。足元の技術に優れ、左右両サイドからスピード豊かなドリブル突破と高精度のクロスを披露している。試合を重ねるごとにチームメイトとの連携を深めながら、今季19試合に出場して3得点4アシスト。その数字以上に周囲との“違い”を見せながら多くのチャンスを作り出している。チームはポステコグルー監督が退任した中でも、中断前のリーグ戦で6連勝を飾って首位・川崎を猛追。チーム順位を考えると「ベスト1」でもおかしくない。

そのエウベルよりも多く、そしてユンカーに並ぶ今季7得点を挙げているのが、清水のチアゴ・サンタナだ。28歳のブラジル人FW。コロナ禍での入国制限のために来日が遅れる新外国人が続出した中で、バカンス返上で早期に来日すると、開幕戦から先発フル出場して来日初ゴールもマークして勝利に貢献。その後も身長184センチの体を張って前線の起点となりながら、自らもゴールを奪う力強さで、チームをけん引している。確かにチームは思うように勝点を伸ばせずに20チーム中13位という状況だが、この男がいなければ降格圏に沈んでいてもおかしくなかっただろう。「ベスト3」には入れなければならない。

一方、「ワースト3」は誰か。来日前の話題性と期待感、その費用対効果を考えると、神戸の“超逸材”ブラジル人FWリンコンが「ワースト1」となる。名門フラメンゴの下部組織育ち、16歳でトップチームデビューを果たし、U-20代表を含む世代別のブラジル代表に名を連ねた弱冠20歳の怪物ストライカー。推定3億円とも言われる移籍金で獲得したが、来日が4月4日まで遅れると、なかなかコンディションも整わず、ようやく4月24日の第11節・鹿島戦から4試合連続で途中出場。そして5月22日の第15節・浦和戦では初スタメンを飾ったが、その試合で負傷交代。その後、約2週間の離脱を経て6月5日のルヴァン杯プレーオフ第1戦・浦和戦で復帰したが、続くプレーオフ第2戦で再び負傷し、左ハムストリング肉離れで全治約12週間と診断された。ここまで公式戦10試合出場で無得点。リーグ戦では5試合148分に出場してシュート5本で無得点。現時点での「ワースト1」もやむを得ない。

同じくブラジル代表の年代別代表の経験者であるFC東京のブルーノ・ウヴィニも、期待に応えることができていない。U-20ブラジル代表のキャプテンとして2011年のU-20W杯優勝に貢献した後、2012年のロンドン五輪にも出場。フル代表にも3試合に出場した実績を持つセンターバックだが、来日後初先発した4月28日のルヴァン杯・徳島戦で同点弾を決めて見せたが、リーグ戦では5月9日の鹿島戦に途中出場して45分間プレーしたのみ。長谷川健太監督の信頼を掴めていない。来日の遅れ、ポジション、チーム戦術など、いろいろエクスキューズはあるが、やはり肩書がビッグなだけに「ワースト2」に選ばざるを得ない。

「元アーセナル」という肩書を持つG大阪のウェリントン・シウバも苦しんでいる。抜群のボールテクニックを持つ28歳のブラジル人。3月25日に獲得が発表され、4月7日に来日し、同25日からのチームに合流。極度の得点力不足で下位に低迷するチームの起爆剤として期待が高まったが、ここまでリーグ戦5試合出場で無得点。スタメン出場は5月30日の横浜FC戦のみで、出場時間117分でシュート2本も含めて物足りない内容。監督交代劇もあったチーム状況、他の外国人選手たちとの兼ね合いもあるが、「チームを変えてくれるはず」との期待があっただけに、「ワースト3」も仕方ない。

この他にも、コロナ禍が続く中で自らの実力を発揮できていない新外国人は例年以上に多いが、彼らにとっての朗報は、まだリーグ戦が各クラブ16試合以上も残っているということ。現時点の低評価を覆すことは、十分に可能だ。

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