ガンバは最強・広州恒大に勝てるのか? 柏・G大阪の番記者、広州在住記者が徹底分析 フットボールチャンネル 9月30日(水)10時30分配信

本日(30日)、アジアチャンピオンズリーグ (ACL)ベスト4を戦うガンバ大阪。相手は優勝候補筆頭の中国の広州恒大だ。果たしてこの難敵に勝利することができるのか? ベスト8で広州と対戦した 柏レイソルの番記者、当事者であるガンバ大阪の番記者、広州在住の記者が分析する。

警戒すべきは外国人ではなく中国人選手

◎柏レイソル番記者、鈴木潤氏の分析

2012年、2013年、そして今年と、柏はACLで広州恒大と3度対戦している。率直な感想では、2年前の方が破壊力はあった。当時在籍していたムリ キとダリオ・コンカが個の突破力に長けていたのに対し、リカルド・グラル、パウリーニョは確かにハイレベルの選手ではあるものの、ドリブルで相手の守備網 を切り裂くタイプではなく、負傷明けのエウケソンもまだ本調子ではない。

G大阪が広州を押し込み、相手の攻め手をカウンターだけに限定させることができれば、広州の攻撃はそこまで怖くはない。警戒すべきはむしろ、その周囲を 固める中国人選手だ。彼らは技術面もさることながら、身体の強さ、速さといったアスリート性に長けた面があり、セカンドボールの争いには非常に強い。

柏はそこでスピードとパワーに押し負け、セカンドボールの争いや前線でボールを収めることには相当苦しんだ。ただ、それでも柏のパスワークに翻弄される 場面も多々あったため、G大阪の各選手のクオリティーを考えれば、フィジカル勝負に持ち込まれずに狙いどころを絞らせないことは可能だろう。

中国人選手のパワーをまともに受けない、そしてブラジル人選手をゴールから遠ざけさえすれば、十分に勝機は見える。逆に第1戦はアウェイだからと守備的に戦う方が、リカルド・グラルやエウケソンがゴールに近づくため危険かもしれない。

問われるのは最終ラインの耐久力。丹羽が不在だが…

◎ガンバ大阪番記者、下薗昌記氏の分析

G大阪が二度目のアジア制覇に向けて最大の障壁となるのがアジアサッカー界きっての金満集団、広州恒大。準決勝の1stレグに向けた前日会見で長谷川健 太監督は「第1戦がどういう結果になろうと第2戦をしっかり戦って決勝に進めるように、2試合トータルで結果を求めたい」と言い切った。

その言葉にはレギュレーション上、全く偽りはない。ただ、G大阪にとってまず不可欠なことは、ホームで迎える2ndレグに望みをつなぐ戦いをすることである。「チームの全員でしっかりと抑えたい」と遠藤保仁が言うように、全員攻撃全員守備が今のガンバ大阪のスタイル。

ただ、1stレグで問われるのは最終ラインの耐久力である。フィジカルコンタクトの強い韓国の雄、全北現代との準々決勝でも球際ではいっさい負けていな かった三冠王者だが、組織を個の力で破りうるのがリカルド・グラルやパウリーニョらカナリアイエローのシャツをまとった経験のあるタレントたち。

長谷川監督が準々決勝の退席処分で指揮を執れないのも痛手だが、広州相手にCBの丹羽大輝を出場停止で欠き、代役は金正也が務めることになる。これまで マッチアップしてきたアタッカーたちとはシュートレンジも、個の打開力も桁違いのブラジル人トリオに対して岩下敬輔と金のCB陣がいかに耐えきれるか。ガ ンバ大阪の「堅守」が問われる初戦になる。

かつてはお粗末な守備だった広州。現在では規律が

◎広州在住記者、クリストファー・アトキンス氏の分析

東アジアサッカーにおいて、広州恒大は誰もが対戦したくないクラブの1つだ。ACLでのパフォーマンス、そしてビッグネームを勧誘できる“能力”から、孤高の存在となっている。

水曜日の夜、G大阪にとっては大きな挑戦となる。彼らはアウェイ・天河体育中心体育場で戦うが、次の第2戦に向けて希望を得なくてはならない。それは容易ではないだろうが、ガンバが全北に対して発揮できたような強固なパフォーマンスが出せれば良いスタートになる。

G大阪にとって有利な情報と言えば、広州はACL初戦をホームで試合することに慣れていない。近年、彼らはホームに戻った時には既に良い結果を得ている (例えば、ベスト8の柏戦ではアウェイで3-1と勝利し、大きなアドバンテージをホームに持って帰った)。事実、広州のホームでACLの1stレグを戦っ たのは、2013年のレクウィヤ戦が最後だ。

とはいえ、広州のルイス・フェリペ・スコラーリ監督はこのような大会での経験が豊富で、確実に試合に入る方法を知っている。ファビオ・カンナバーロ前監 督時代までは学生のようなディフェンスが散見されたが、ブラジル人指揮官が来てから中国人選手たちはかなり組織化された。彼らは今、構築化され、規律ある プレーのできるチームになっている。

G大阪の脅威になるのは、柏が数週間前に見た外国人選手だけだと言うのは間違いだ。広州は、柏との第2戦で最高の状態ではなかったが、わずか数日前、国内でタイトルを争う上海上港に3-0で勝利したばかりだった。上海にアウェイで勝利したことは、彼らが柏を脅威として考えていなかったことに説得力を持た せる。

水曜日、G大阪の鍵は多くの時間を相手陣内でプレーすること、理想を言えばアウェイゴールをあげることだ。そうなれば第2戦でカウンター狙いの戦術が選択でき、広州が攻撃するのは難しくなるだろう。G大阪の決勝への希望は、明日の試合に懸かっている。

三者の勝敗予想は?

 三者三様の分析だったが、共通するのはG大阪にとって厳しい戦いになるということだろう。広州は2013年に優勝を経験、現役セレソンであるパウリーニョを獲得し、最強の呼び声が高い。記者陣は試合の勝敗をどう予想するだろうか。

柏レイソル、鈴木氏:1勝1分、G大阪勝利
G大阪、下薗氏:1分1敗、広州勝利
広州、アトキンス氏:2勝、広州勝利(初戦は3-1で広州と予想)

三者の予想ではG大阪の不利と出たが、柏の鈴木氏が勝ち抜けを予想しているのは興味深い。柏はACLで何度も広州と対戦し、当然JリーグではG大阪との対戦も多い。両者の強さを知った上で、G大阪の勝利と見ている。

W杯優勝監督、現役セレソン、中国代表……。広州の迫力にはネームバリュー、資金力では圧倒されてしまいそうだ。だが、忘れてならないのは昨年の優勝クラブだ。誰が豪州のウェスタン・シドニー・ワンダラーズが優勝すると予想しただろうか。

また、G大阪がJ三冠王者であることも忘れてならない。勝利の味を知るチームはどのような戦いをするのか。注目の一戦は、日本時間21時キックオフだ。

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