【セルジオ越後の天国と地獄】J1展望<優勝&残留争い、注目プレーヤー>「期待を込めて、僕はG大阪を優勝候補に推したい」

残留争い予想「昇格組に加え、“常連組”の甲府、仙台、新潟も気掛かり。名古屋も暗雲が漂う」

 2月27日から、いよいよ今季のJ1リーグが開幕するね。今年は8月にリオ五輪があり、9月からワールドカップ最終予選も始まる。そういう意味では“日の丸イヤー”とも言える。

なかでもリオ五輪世代の選手たちが、Jリーグで存在感を放つか注目したい。リオ五輪での登録は18人だが、23歳以上のオーバーエイジ枠を3つ最大限に活用した場合は、23歳以下の選出は15人。限られた席を巡る熾烈なサバイバルが、リーグを活性化するはずだ。

また、名波浩監督や小倉隆史監督など若い世代の監督の働きも見どころ。Jリーグの一時代を築いた名手たちが監督になり、どのような采配を振るうのか楽しみだ。もっとも、なでしこジャパンがリオ五輪最終予選に挑むなか、Jリーグの話題が減らないか少し心配だね。

ここからは「残留争い」、「年間優勝争い」、「注目プレーヤー」について、それぞれ触れていきたい。

■「J1リーグ・残留争い」

例年通り、昇格組は苦戦を免れないだろう。大宮、磐田、福岡の3チームは、歯車がひとつ狂えば、再び降格もあり得る。もっとも、大宮と磐田に関しては、 昨季の湘南のように、躍進するポテンシャルを十分に秘めている。ただ福岡は、戦力的にどうしても見劣りするだけに、チーム一丸となって勝点を拾えるかがポ イントだ。

それ以外では、残留争いの“常連組”である甲府、仙台、新潟が気掛かり。湘南は、遠藤や永木を引き抜かれた影響がどう出るか。

そして、最も暗雲が漂うのが名古屋だ。チーム作りは、明らかに優勝を目指したものではないように感じる。小倉氏に監督とGM業を兼任させるという新たな試みが成功すればいいけれど、経験の浅い指導者に一任するクラブの方針は、疑問を抱かざるを得ないよ。

年間優勝争い予想「広島、G大阪、浦和の戦力が抜けているが、僕はG大阪を推したい」

■「J1リーグ・年間優勝争い」

今年も広島、G大阪、浦和の3チームが、優勝争いの中心になると思う。最大のポイントは、新戦力の働き。広島はドウグラスの抜けた穴をピーター・ウタカ が埋められるか。G大阪は期待のアデミウソンが機能するか。そして浦和は、遠藤航やイリッチらが額面どおりの活躍をするか。戦力的に考えれば、この“ビッ グ3”が抜けている。

それ以外のクラブに関しては、いまひとつパッとしないというのが実情だ。柏や横浜、名古屋あたりは、昨季に比べて戦力ダウンの印象が否めない。鹿島は永 木亮太が加入し、金崎夢生が戻ったとはいえ、戦力は微増した程度。柴崎岳の離脱もあり、序盤戦で躓かないか不安は尽きない。

川崎も優勝候補に違いないが、今も輝きを放つのは、大久保嘉人であり、中村憲剛だ。タイトル獲得には、彼ら以上に存在感を放つ選手の台頭が不可欠だろ う。城福浩監督が率いるFC東京は、上位に食い込むはずだが、優勝を狙うチーム作りには思えないというのが偽らざる印象だ。

今季は、リオ五輪やワールドカップ最終予選の影響がどう出るかで、優勝争いの行方も変わる。また、ACL組(広島、G大阪、浦和、FC東京)は勝ち進む ほど過密日程が続く。昨季、ACLベスト4のG大阪も過密日程に苦しめられただけに、ACL組はマネジメント力を問われるだろう。その意味で、ACLに参 戦しないクラブの奮起に注目したい。

優勝の最有力候補はG大阪。立派な新スタジアムに相応しいチームになってほしい、という想いがある。今のところ、市立吹田サッカースタジアムは“スカイ ツリー”のような観光名所として興味を引いている。「新スタジアムを一目見たい」と多くの観客が足を運びそうだが、「サッカーを一目見たい」というチーム にぜひなってほしい。

新スタジアムに刺激を受けて、それに見合った結果を残し、さらにチームの魅力が高まる。そんな好循環が生まれる期待を込めて、僕はG大阪を推したい。

注目プレーヤー「浅野や遠藤らリオ五輪世代が活躍できるか。大久保と宇佐美の得点王争いも興味深い」

■「J1リーグ・注目プレーヤー」

今季の注目は、なんと言ってもリオ五輪世代だ。彼らが所属クラブで活躍できるか。

例えば、昨季は途中出場が大半だった広島の浅野拓磨には、コンスタントに90分間プレーし、一定の結果を残してもらいたい。また、G大阪の井手口陽介に は出場機会を増やし、浦和の遠藤航には定位置を確保してもらいたい。U-23代表の正GKである櫛引政敏も、新天地の鹿島で曽ケ端準からレギュラーの座を 奪うぐらい存在感を放ってほしい。

さらに、リオ五輪アジア最終予選のメンバー外となった関根貴大(浦和)、鎌田大地(鳥栖)、野津田岳人(広島)、前田直輝(横浜)ら“落選組”は期する ものがあるはず。悔しさをバネに、目に見える結果を残せるか。そしてリオ五輪後には、この世代から何人がA代表に駆け上がるかも注目したい。

それ以外の選手では、移籍組や助っ人の働きは気になるけれど、大きな期待を抱かせる選手は見当たらないというのが本音だよ。むしろ、中国リーグにゴロゴロ存在する、代表クラスのタレントのほうが気になるね。

ただ、得点王争いは興味深い。4年連続得点王に挑む川崎の大久保嘉人は、今季もコンスタントにゴールを決めそうな気配が漂う。個人タイトルを再び獲得するとなれば、その前人未到の功績に対して、特別賞を贈ってもいいね。

一方で、昨季の第1ステージにゴールを量産したG大阪の宇佐美貴史が、大久保にどこまで食らい付くか。成長期にある彼がもうひと皮むければ、ハイレベルな争いが見られるはずだ。

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